♥ 前世の記憶が戻った 1
此処は……病院…の病室……にしては──、かなり豪華に見えるんだけど……。
僕は上半身を起こして、室内を見回してみた。
あぁ……何だ。
見慣れた部屋だった。
此処は僕の──前世の僕じゃなくて今世の僕の自室だ。
僕は……突然、脱力感に襲われて…全身に力が入らなくなって……自分では立てれなくなった後……そのまま意識を失ったんだ…。
あれから何日が過ぎたんだろう??
いや──、僕は知っている筈だ。
だって僕は宙に浮きながら…ベッドの中で苦しみながら眠っている僕自身の姿を見詰めていたからだ。
アルラシール
「 ……あれ?
何だろう??
手の甲に緑色と青色に光ってる?? 」
左手の甲には緑色の光で、右手の甲には青色の光だ。
アルラシール
「 ……一体何の光だろう?? 」
不思議に思って光を触ってみたり、ずっと見ていたら──、次第に光は弱々しく光ながら消えていった。
本当に何だったんだろう…??
首を傾げながら光の消えた両手の甲を繁々と見ていたら、部屋に設置されている両扉のドアが開いた。
只今絶賛身籠り中のお母様と専属侍女頭が入って来た。
専属侍女頭はお母様と共に≪ ハベシュリ王国 ≫から来たお母様付きの侍女だった人で、幼い頃からプライベート込み込みでお母様が1番信頼している専属侍女頭だ。
1週間程、ベッドの中で苦しみながら眠っていた所為で、12歳の誕生日を祝えぬまま終わってしまった日から、もう直ぐ3年が経とうとしている。
僕は6日後に15歳を迎える。
翌月になれば成人扱いされるようになる。
僕は未だに父上を説得させる事が出来ないでいた。
どんなに時間を作って父上に皇位継承権放棄の話をしても承諾をしてもらえない。
タイムリミットは6日しかない。
この6日間で父上を説得させられなければ、僕は皇位継承権放棄の儀式を執り行ってもらう事が出来ないんだ。
何とかしないといけない。
だけど、どうしたら父上に納得してもらえるような話が出来るんだろう…。
アルラシール
「 ──あの、頑固親父めぇ!!
何で皇位継承権放棄をさせてくれないんだっ!!
大人の醜い権力争いや皇位継承権争いなんかに巻き込まれたくないって言うのに!! 」
?
『 そんなに嫌なら家出しちゃえば良いんじゃないのかなぁ? 』
?
『 そうだね。
本当に嫌なら、行動で示すと良いよね 』
アルラシール
「 だ…誰だ?!
何処から声が聞こえてるんだ?! 」
?
『 そっかぁ、未だボク達の姿は見えないんだね 』
?
『 アルス君、君に授けられた能力を解放するんだよ 』
アルラシール
「 ──は?
能力を解放する??
一体何の事を言ってるんだ?
僕は能力なんて誰からも授かってない! 」
?
『 そんな事ないよ、アッス。
君はぐりっぺ神から能力を授かったんだ 』
?
『 臨死体験をした時に特殊能力を授かった事で、一命を取り止める事が出来たんだよ 』
アルラシール
「 一命を取り止める??
僕は……あの日、死んでいたかも知れないって事なのか? 」
?
『 そうだよ。
運が良かったね!
アッスはラッキーボーイだよ! 』
?
『 アルス君──、両腕を前に伸ばして、左右の甲をクロスするんだ。
両手は握ってね。
出来たら、 “ 能力解放 ” って叫ぶんだ 』
?
『 その後に“ とこしえの神──、ぐりっぺ神の使徒をガチャ召喚!! ” って叫ぶのも忘れないでね 』
アルラシール
「 ……………… 」
頗る怪しい声に導かれるままに、僕は言われた通りにしてみる事にした。
やっても何も起きなければ、それはそれでいいと割り切る事にしたんだ。
最悪「 幻聴が聞こえる 」って事にして、別荘へ移って老後まで療養生活を満喫するのも良いかも知れない。
両腕を前に伸ばして、両手は握ったままで、左右の甲が上になるようにクロスをさせて────。
アルラシール
「 能力解放!! 」
そう叫ぶと、左右の甲が眩く光り出した。
左手の甲からは緑色の光が輝いて、右手の甲には青色の光が輝いている。
アルラシール
「 ──とこしえの神、ぐりっぺ神の使徒をガチャ召喚っ!! 」
僕が叫ぶと緑色の光と青色の光が両手の甲の上で混ざり合い、光が弾け飛んだ。
眩い光は消えてしまった。
アルラシール
「 光が消えた…… 」
?
「 やっと会えるたね、アッス〜〜。
初めましてだね!
ボクはガチャ●●だよ。
古の時代に産まれた●●の子供で、永遠の5歳だよ。
今から宜しくね〜〜。
仲良くしようね 」
アルラシール
「 は……?? 」
?
「 初めまして、こんにちは。
ボク、●●え●●です。
ボクは古の時代で一世を風靡した子守り用●●ッ●だよ。
今から末長く宜しくね。
ふふふふふ 」
アルラシール
「 はぁぁぁぁぁぁッッッ?! 」
僕は突如、目の前に現れた2体の存在に対して、思わず叫び声を上げてしまった。
初めて見た筈なのに、初めて見た気がしない。
何故か、物凄ぉ~~~~く懐かしい気持ちになるのは何でなんだろう?
僕は彼等を知っているのか??
だけど、初見なのは明らかだ。
いや……どう見ても初めて見る存在なのに、知っている感が拭えない。
とある言葉が喉の上まで出掛かっている。
知っているんだ…………僕は……彼等の正体を──。
アルラシール
「 ガチャ●●と●●え●●じゃないかーーーーーーい!! 」
ガチャ●●
「 うん、そうだよ。
さっき自己紹介したよね 」
●●え●●
「 そうそう。
アルス君とボク達は生涯の魂絆友になったんだよ。
これからはずっと一緒だよ 」
アルラシール
「 メイト…… 」
ガチャ●●
「 う〜んとねぇ、魂と絆で繋がった友達って意味だよ 」
◎ 訂正しました。
11歳 ─→ 12歳
3年 ─→ 4年