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この世界の闇の悪魔はお前じゃないか

 あの世界での出来事は全て夢だったのかもしれない。けど、またアズラエルと出会えるといいな。昼休みになる直前、僕はそんなことを考えながら教室の窓の外を見ていた。すると赤い光がこちらにやってくるのが見えた。ん? あれってもしかして。僕は昼休みの始まりを告げるチャイムの音を聞きながら日直の指示に従い、起立したのち礼をした。このままだと僕が直接窓を開ける前に彼女が窓をぶち破ってしまうため、僕は人間の闇を使って窓を開けた。


雅人まさとー! 来たぞー!!」


 彼女が僕に抱きつく直前、僕は人間の闇で巨大なクッションを作った。そうしないと学校が崩壊してしまうからだ。


「すごい登場したな、アズラエル」


「あー、それは座標が少しズレていたからだ。まあ、とにかく今日から私はお前の守護天使だ!!」


「え? お前が僕の守護天使になるのか? へえ、すごいなー」


「ちょ、ちょっとお兄ちゃん! その女、誰!?」


「あー、えーっと、こいつは」


「私の名前はアズラエル! 今日から雅人まさとの守護天使だ!! よろしくな!」


「自己紹介はいいから早くお兄ちゃんから離れて!!」


「はいはい、これでいいか?」


「まったく、たぬきの次は天使か。そのうち悪魔も来そうね」


「悪魔? あー、それならずっとここにいるぞ。なあ? 雅人まさと


「え? そうなのか?」


「おいおい、とぼけるなよ。この世界の闇の悪魔はお前じゃないか」


「……え?」


 僕が……闇の悪魔?


「そう、なのか?」


「ああ、そうだ。私の世界ではサンダルフォンの二つ名だったけど、この世界の闇の悪魔は確実にお前だ。その証拠にお前は人間の闇を手足のように使いこなしてる。それができるのは闇の悪魔だけだ」


 アズラエルはいったい何を言っているんだ? 僕が闇の悪魔? そんなバカな。だって、僕はまだ人間……。いや、待て。たしか僕は彼女の世界で人間としてカウントされていなかった。もしかして、その原因は僕が限りなく妖怪に近い半妖だからではなく、闇の悪魔だからなのか?


「あんた、さっきから何言ってるの! お兄ちゃんは私のお兄ちゃんだよ! それ以外の何者でもないの! 勝手に私のお兄ちゃんをそんなわけの分からない存在にしないで!!」


「な、夏樹なつき……」


「あれ? もしかしてまだ知らなかったのか? そうかー。それは悪いことをしたな。余計なこと言ってごめんな」


「私はいいけど、お兄ちゃんが混乱してるからあんたはしばらくどっか行ってて」


「はいはい」


 僕は世界の敵になるのか? いずれ人間たちを操って天使狩りをするよう命じるのか? いやだ、僕はそんな存在になりたくない。


「お兄ちゃん、私と一緒に保健室行こう」


「すまない……少し一人にしてくれないか?」


「やだ」


「……どうしてだ?」


「今のお兄ちゃん、すっごく不安定になってる。だから、一人になんてできないよ」


「お前を傷つけるかもしれないぞ?」


「今のお兄ちゃんには無理だよ。ほら、早く行こう」


 夏樹なつき(僕の実の妹)の手のぬくもりが僕の心に積もった負の感情という名の雪を溶かしていく。ああ、やっぱり夏樹なつきがいないと僕はダメなんだな。

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