それじゃあ、おやすみ、お父さん♪
望月(狸っ娘)、結構グイグイ来るなー。あれは要警戒だな。僕がそんなことを考えながらベッドに横になっていると姫凛(僕と凛の娘)がやってきた。まあ、娘といっても僕の血と凛(狐っ娘)の霊力を混ぜ合わせたことで生まれた存在なのだが。
「お父さん」
「ん? なんだ?」
「今日、一緒に寝てもいい?」
「え? ああ、いいぞ」
「ありがとう。じゃあ、お邪魔しまーす」
風呂上がり、シャンプーとボディソープの香りがする少し火照った体から放たれる魅惑的なオーラが僕の頭をピンク色に染めていく。その華奢な体を見ているとどこからか新しい扉がやってきて僕の目の前で停止する。まるで早くその扉を開けろと言っているかのように。
あー! ダメだ! ダメだ! なんで僕は実の娘の体を見て興奮してるんだ!! 今すぐ冷静になれ!!
「ねえ、お父さん」
「な、なんだ?」
「私、お父さんのこと好きだよ」
「え? あー、ありがとう」
僕がそう言うと彼女はため息を吐いた。
「お父さん、私ね。家族としての好きじゃなくて一人の男性として、お父さんのこと好きなんだよ。生まれた時からずっと」
「それは凛の恋心がお前に受け継がれてるからじゃないのか?」
「最初はそうだと思ってたよ。けど、お母さんが好きなお父さんと私が好きなお父さんって違うんだよ」
「どう違うんだ?」
「お母さんはお父さんの全部が好きだけど、私はお父さんの闇が好きなんだよ」
「前者はまあ、いいとして。後者はどういう意味だ?」
「隠さなくていいよ。お父さん、さっき私の体見て興奮してたでしょ?」
「あー、はい、してました」
「そっか。良かった」
良かった?
「ごめんね、私さっき魅了使ってたの。だから、お父さんが興奮するのは当たり前のことなんだよ」
「な、なあんだ。そういうことだったのかー」
「でもね、私の魅了は私に好意がないと効かないんだよ」
「え?」
「だからね、お父さんは少なからず私のことを一人の女の子として好きってなんだよ」
「そ、そんな……! たしかにお前は凛に似てるからつい甘やかしたくなるけど、そういう関係になりたいと思ったことはないぞ!!」
「でも、私の魅了効いてたよね?」
「そ、それは……まあ、そうだが」
僕が混乱していると姫凛は僕の頭を優しく撫でた。
「ごめんなさい。本当は久しぶりに構ってほしくなっただけなんだよ。だから、許して」
「ん? どういうことだ?」
「あのね、実はあの魅了、誰にでも効くんだよ。種族や性別関係なく」
「……ということは僕は実の娘に興奮する変態じゃなかったってことだな!!」
「うん、まあ、そうだね。でも、私はいつかお父さんが私を襲ってくれる日が来ることを楽しみにしてるよ」
「そ、そんな日は一生来ません! おやすみ!!」
「あははは、お父さん顔真っ赤ー。かわいい」
「う、うるさい! 早く寝ないと明日起きれなくなるぞ!」
「はーい、もう寝まーす。それじゃあ、おやすみ、お父さん♪」
私はいつでもオーケーだよ、お父さん。




