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スリ

 山本家……リビング……。

 今日は朝から曇ってるなー。今にも降り出しそうだ。


雅人まさとさん、最近スリが多発しているので気をつけてください」


 座敷童子の童子わらこはそんなことを言いながら僕に手作り弁当を手渡す。


「ああ、分かった。気をつけるよ」


「お兄ちゃん! 早くしないと遅刻しちゃうよー!」


「ああ、分かった! 今行く!!」


雅人まさとさん」


「なんだ?」


「少し屈んでください」


「え? あー、うん、分かった」


 僕が童子わらこに言われた通りのことをすると、彼女は僕のひたいに優しくキスをした。


「いってらっしゃい」


「いってきます」


「お兄ちゃん! 早くー!!」


「ああ、分かった!!」


 僕は彼女をギュッと抱きしめてから家を出た。


 *


 放課後……。


「あー、もうー、最悪ー。昼からずっと雨だよー」


「そうだな」


 うーん、なーんか誰かの視線を感じるなー。あっ、今電柱のかげに何か隠れた。


夏樹なつき、気づいてるか?」


「うん、気づいてるよー」


「そうか。じゃあ、僕がおとりになるからお前は僕が合図するまで一般人のふりをしていてくれ」


「りょうかーい」


 僕は何かを思い出したかのようにカバンのチャックを開けて携帯電話を取り出した。その際、僕は財布の一部をカバンから少しだけ出した。さぁ、来い! エサに食らいつけ!! 僕がそんなことを考えていると電柱のかげから小さな黒い影が現れ、あっという間に僕のカバンから財布を盗んだ。


夏樹なつき、頼む」


「オッケー」


 夏樹なつき(僕の実の妹)の黒い長髪が瞬時に小さな黒い影をらえる。それはしばらく暴れていたが、それが無意味だということが分かるとおとなしくなった。


夏樹なつき、そいつを丁重にうちまで運んでくれ」


「はーい」


 はぁ……本当は今すぐこいつを私の髪で串刺しにしてから八つ裂きにしたいけど、お兄ちゃんが丁重にうちまで運んでくれって言ったからその通りにしないといけなくなったなー。

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