呪殺システム
カーラダッ! カーラダッ! わったしのカーラダッ!!
「ねえねえ、童子ちゃん。私の体の設計図、これで全部?」
「まあ、今のところは」
「そっかー。うーん、でも、どれもいまいちだなー。ねえねえ、ちょっとこの星にいる女性の体のデータ全部持ってきて」
「そう言うと思って集めておきました」
「さっすが童子ちゃん! あったまいい!! それで? そのデータはどこにあるの?」
「それは私の頭の中にあります」
「へえ、そうなんだー。で? どうすればそのデータ見れるの?」
「今からあなたにそのデータをお渡しします。気に入ったものがあったら印をつけておいてください。あっ、それと横になった方がいいですよ。膨大なデータを一気に送るので」
「うん! 分かった!! おー、これがこの体の持ち主のベッドかー。なんかメスのにおいがするね」
「気のせいです。では、始めます。データ送信」
「おっ! 来た来た来たー! ほう、これはなかなか。あっ! この体かわいい! あっ! これも! それも! あー! もうー! いいのありすぎー!」
「……調子はどう?」
「見ての通りです」
「あっ、そう」
「夏樹さん、雅人さんの意識はまだ戻らないのですか?」
「とっくに目覚めてるよ。けど、コトリバコが出ていくまで彼女に体を貸してあげるつもりみたい」
「そうですか」
「はぁ……まったく、お兄ちゃんはお人好しすぎるよ」
「でも、そこがいいんでしょう?」
「……まあね」
「童子ちゃん! 終わったよー!!」
「そうですか。では、そのデータを今からコピーします。それが終わったら私の頭の中に送信してください」
「はーい! って、私そんなことできないよ?」
「安心してください。あなたが送信と言えば、私の頭の中に送信されるように細工をしてありますから」
「童子ちゃんは賢いねー。あー、あとすっごくかわいいね!!」
「はいはい」
「クールなところもいいねー。私、好きになっちゃいそうだよー」
「バカなこと言ってないで早くしてください。コピーはとっくに終わっているので」
「もうー、せっかちだなー。じゃあ、行くよー! 送信!!」
「はい、たしかに。では、しばらく寝ててください」
「はーい!!」
どんな体ができるのか楽しみだなー!! 早くできないかなー。
とある地下研究所。
「マスター、零番の居場所が判明しました」
「ほう、どこだ?」
「山本家の二階にある男子高校生の部屋のベッドの上です」
「そうか。分かった。それで? なぜお前は零番をここから逃がしたんだ?」
「マスターのそばにいたら、あの子が壊れてしまうからです」
「アレは元から壊れているだろう? アレはコトリバコになれなかった出来損ないなのだから」
「それを作ったのはあなたですよね?」
「お前、今私を愚弄したな?」
「はい」
「そうか。では、死ね!!」
私のおなかに刺さった呪具殺しの短剣。その効果より私の体は崩壊を始めた。
「……それを待っていました。呪殺システム発動」
「……っ!! な、なぜだ! なぜ今のお前がそれを使えるんだ!! その機能は呪いがある程度蓄積されていないと使えないはずだ!!」
「はぁ……いいですか? ここにいる全員、あなたのことが嫌いです。なので私たちはあなたを殺す計画を立てました」
「な、なんだと!? では、アレを逃がしたのは」
「はい、計画の一部です。まあ、せいぜいあの世で罰を受けてください。では、さようなら」
「ま、待て! 私にはまだやり残したことが!!」
「うるさいですね。早く死んでください」
私が少し呪いを濃くすると彼はようやく死にました。ちなみに例の短剣は今の私にはそんなに効果がないものとすり替えておいたので数分で元に戻ります。
終わりましたよ、零お姉様。これで私たち全員自由の身です。




