私の体の設計図ある?
はぁ……疲れたー。やっと放課後だよー。あっ、そういえば、そろそろこの体から出ないといけないんだよね……。
「時間だ」
「うわっ! ビックリした!! もうー、急に現れないでよー」
「うるさい、黙れ。童子ちゃん、やっちゃっていいよ」
「本当にいいんですか?」
「うん、いいよ。早くして」
「……分かりました」
「え? 何? 私これから何されるの?」
夏樹ちゃんはずっとイライラしている。座敷童子の童子ちゃんは少し辛そうな表情を浮かべている。
「ね、ねえ、童子ちゃん。私、これから何されるの?」
「私は今からあなたを消します」
「え? 消すって……私、コトリバコになれなかった欠陥品なんでしょ? ほぼ無害なんでしょ? なんでそんなことするの?」
「それが夏樹さんの願いだからです」
「い、いやいやいやいや、なんで私に内緒で勝手に決めてるの? 私、まだ死にたくないよ」
「あなたはいてもいなくても誰も困りません」
「そ、そんな……私、いらない物なの?」
「はい、そうです。なので今すぐ消えてください」
「……い、いやだ……そんなの絶対いや……私、まだ死にたくないよ! もっといろんなことしたいよ!!」
「残念ですが、あなたは今日ここで死にます」
「死ぬ? 私、死ぬの?」
「はい、そうです」
「私が死なないと困るの?」
「はい、困ります」
「私が死ぬ以外に方法はないの?」
「ありますが、夏樹さんがそれをしたくないと言ったのでどうにもなりません」
「えっ! あるの!?」
「はい、あります。聞きたいですか?」
「聞きたい! 聞きたい!」
「分かりました。夏樹さん、話してもいいですか?」
「はぁ……私、ちょっとお花摘みに行ってくる」
「はい、分かりました」
や、優しい! いや、希望のとなりにはいつも絶望がいるから油断は禁物だよ! 私!!
「それで? その方法っていうのは何なの?」
「それは……」
「それは?」
「私の文字の力であなたの体を作るというものです」
「えっ! 童子ちゃんって文字使いなの!? すごーい!!」
「そんなことは今どうでもいいです。それで、どうですか? 体欲しいですか?」
「そんなの欲しいに決まってるよ!! ねえねえ、体ってどんなのがあるの?」
「その前に一つ確認しておきたいことがあります」
「なあに?」
「あなたの性別を教えてください」
「うーん、多分女の子だと思うよ」
「多分?」
「私たちを作った人がね、私たちのことを娘って言ってたから多分女の子だと思うよ」
「そうですか。まあ、一応男性の体もありますが」
「文字使いってなんでも作れちゃうんだね」
「まあ、大抵のものは作れます」
「そうなんだー。じゃあ、命は?」
「作れますが、あまりやりたくありません」
「どうして?」
「神様の仕事が一つなくなるからです」
「そっか……。あっ、私の体の設計図ある?」
「それは雅人さんの……あなたが今憑依している男性の自室にあります」
「そっかー。かわいいのあるといいなー」
「ありますよ。それはもうたくさん」
「へえ、そうなんだ。楽しみだなー」




