ここにお兄ちゃんがいるからだよ♡
幽霊には肉体がない。故に触れることはできない。しかし、妖怪や半妖、霊感がそこそこある人なら触れることができる。
「雅人さん! どうして私の体を洗ってくれないんですか!!」
女の子の幽霊『七夕 舞』は浴室に入ってからずっとそんなことを言っている。
「なんで僕にこだわるんだ? 夏樹に洗ってもらえばいいじゃないか」
「そんなことしたら夏樹さんに殺されちゃいますよ!」
「夏樹はそんなことしないよ。なあ? 夏樹」
「舞ちゃーん、こっちおいでー。大丈夫、怖くないよー」
「その笑顔やめてください! 何かされそうで怖いです!!」
「夏樹は僕に何かあったら色々おかしくなるけど、普段は大丈夫だよ」
「そ、そうなんですか?」
「そうじゃないと今頃世界は火の海になってるよ」
「なんでそこで世界が出てくるんですか! というか、夏樹さん一人で世界と戦えるんですか!!」
「夏樹に勝てる方法は今のところないから多分一人で世界滅ぼせるぞ」
「そ、そんな! というか、なんでそんな人がこんなところにいるんですか!!」
「えーっと、それは……」
「ここにお兄ちゃんがいるからだよ♡」
「え?」
「お兄ちゃんは私の全て。お兄ちゃんは私のもの。私はお兄ちゃんのもの。好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き」
「夏樹ー、戻ってこーい」
「え? あっ、ごめん。お兄ちゃんのこと考えすぎて頭の中お兄ちゃんでいっぱいになってた」
「そうか。まあ、ほどほどにな」
「うん!」
「あ、あのー。そろそろ体洗ってほしいんですけどー」
「舞ちゃん、お兄ちゃんの秘密教えてあげるからこっちおいで」
「はい! 分かりました!!」
ちょろい、ちょろい。さあて、どこから開発しようかなー。
「夏樹、舞に変なことするなよ」
「はーい♡」
はぁ……仕方ない。開発はまた今度にしよう。




