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インスタント幽霊

 僕は夏樹なつき(僕の実の妹)とまい(女の子の幽霊)と共に帰宅した後、やつの家を訪ねた。


「おーい、羅々(らら)ー。いるかー?」


 僕がそう言うとその家の二階から一階の玄関まで急いで降りてくる足元が聞こえた。


「久しぶりだねー、雅人まさと。元気だった?」


 玄関の扉を勢いよく開けた少女『百々目鬼(とどめき) 羅々(らら)』は僕の幼馴染である。


「そんなのずっと監視してるんだから分かってるだろ」


「そうだけど本人の口から聞きたいんだよ」


「そうか。分かった。安心しろ、僕は元気だ」


「そっか、そっか。えーっと、まいちゃんの背中を押した犯人を捕まえたいんだよね?」


「ああ、そうだ」


「うーん、まあ、結論から言うと無理だね」


「……なるほど。犯人は人じゃない何かってことか」


「うーん、ちょっと違うかなー。でも、彼女の背中を押したやつは人じゃないから、私の目じゃないと追跡できないよ」


「そうか。それで? そいつは今、どこにいるんだ?」


「どこにもいないよ」


「は?」


「正確には『いた』だね。そいつ、彼女の背中を押した瞬間、この世から消えたんだよ。きれいさっぱり跡形もなく」


「そうか。犯人はインスタント幽霊を使ったのか」


「まあ、そうだろうね。でもまあ、アレの活動限界は三分くらいだから『あいつの背中を押せ』って言ったら普通に実行できるよ」


「しかも監視カメラの視覚からそいつに指示を出せば証拠はまず残らないからな……。はぁ……犯人は今頃どこで何してるんだろうな」


「ねえ、雅人まさと。その子の両親、二ヶ月前に病死してるよね?」


「え? あー、まあ、そうだな……って、まさか同一犯なのか?」


「大当たりー! そしてそいつの目的は彼女の両親が彼女の誕生日に渡すはずだった『あるもの』だよー! まあ、それが入ってる金庫は彼女にしか開けられないんだけどね」


「お前、なんでそんなこと知ってるんだ? まさか、その金庫お前が作ったのか?」


「まあねー。あっ、ちなみにその金庫は人喰い花の口の中にあるから制限時間内にパスワードを言わないと犯人食べられちゃうよー」


「な、なんだって!? それを早く言え!!」


「あー、でも、大丈夫。その金庫だけ私がちょっと手を加えたから『死にはしない』よ」


「そうか。分かった。ありがとう、羅々(らら)


「どういたしましてー」


 僕は帰宅後、まいに事情を話して彼女の家まで案内してもらった。まあ、当然童子(わらこ)の力を使ってだが。

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