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百回でいいのか?

 夏樹なつき(僕の実の妹)の黒い長髪は僕を目的地まで運び終えると僕の頭を優しく撫でた。ちなみに目的地というのは学校の正門付近にいる夏樹なつきの目の前だ。


「もうー! お兄ちゃん! 用事があるんだったらちゃんと私に言ってよー! お兄ちゃんの居場所はいつでもどこでも分かるけど、それでも不安になるんだからー!」


「ごめん、急用だったんだ。許してくれ」


「じゃあ、帰ったらキス百回して」


「百回でいいのか?」


「本当は一生してほしいけど、それだとさすがにかわいそうだから百回なんだよ」


「そうか。優しいな」


「や、優しくなんかないよ! これは一応罰なんだから!」


「そうか。罰か。なら、一回一回しっかりやらないといけないな」


「そ、そうだね。そうしないと罰にならないね。あっ、そうだ。ねえ、お兄ちゃん」


「なんだ?」


「お兄ちゃんは……その……ずっと私のお兄ちゃんだよね?」


「さて、どうだろうな。お前以外の誰かと結婚するかもしれないし、お前以外の誰かに初めてを捧げるかもしれないし、お前以外の誰かと愛の結晶を作るかもしれないぞ。あっ、最後のはもうしてるな。まあ、ヤったわけじゃないからノーカウントだが」


「そういうことじゃないよ。えーっと、なんて言ったらいいんだろう。えーっと、えーっと」


夏樹なつき、お前はいつか僕が僕ではなくなる時が来るかもしれないって思ってるんだな?」


「そう、それ! それだよ! ねえ、どうなの? お兄ちゃん。体、大丈夫そう?」


「ごめん、今は分からないとしか言えないよ」


「そっか。でも、お兄ちゃんならきっと大丈夫だよ。だって、お兄ちゃんは私のお兄ちゃんなんだから」


「その言葉を聞いてほっとしたよ。ありがとう、夏樹なつき


「どういたしまして! それじゃあ、帰ろっか!!」


「ああ、そうだな」


 夏樹なつきがギュッと僕の手を握る。小さくて柔らかくてほんのり温かいその手に包まれているとなんだかすごく落ち着くのはなぜだろう。夏樹なつきのことが好きだからそう感じるのかな? そうだといいな。

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