ご褒美?
カメレオンのお姫様『レオナ』とその執事『レオ』は座敷童子の童子が作ったゲートを通ってお城に戻った。その直後、世界は元に戻った。ちなみに童子の目には世界がピンク色に見えていたらしい。やはり人によって見える色は変わるようだ。
「よし、これで一件落着だなー」
「いいえ、まだです」
童子は自分の前髪を手で押し上げると頬を赤く染めた。
「大仕事を終えたので……そ、その……ご、ご褒美をください」
「ご褒美? 何の話だ?」
「え? も、もしかして忘れてしまったんですか?」
「いや、覚えてるよ」
「もうー! 何なんですか! 私をからかっているんですか!」
「さて、どうだろうな」
「まったく、あなたという人は」
「童子。目、閉じろ」
「え? ちょ、ちょっと待ってください! まだ心の準備が!!」
僕は彼女の両目を片手で覆い隠した後、彼女の額に優しくキスをした。
「はい、おしまい」
「あ……あ……ああ……」
彼女の顔がなぜか真っ赤になっている。あんたに欲しがってたくせにどうしてこうなるんだろう。変なの。
「お兄ちゃん、童子ちゃんオーバーヒートしてるよ」
「え? そうなのか?」
「うん、そうだよ。多分……いや、確実にお兄ちゃん成分を過剰摂取したせいだね」
「お兄ちゃん成分かー。それって危なくないのか?」
「危なくはないけど、それを摂取した女の子は少し発情しちゃうんだよ」
「ふーん、そうなのか。えっと、それって僕にしかない成分なのか?」
「うん、そうだよ」
「そうか。というか、それ誰が見つけたんだ?」
「私だよ」
「そうか」
夏樹(僕の実の妹)は童子の目の前で手を叩いて彼女を正常な状態に戻した。
「童子ちゃん、大丈夫?」
「は、はい、大丈夫です」
「嘘つかなくていいよ。今、大洪水なんでしょ?」
「ど、どうしてあなたがそれを知っているのですか!!」
「え? いや、今のただの予想なんだけど」
「……っ!! し、失礼します!!」
「あちゃー、帰っちゃった。まあ、いっか。それじゃあ、教室行こっか」
「ああ」




