巨大なカメレオン
次の日の朝、僕が目を開けると真っ赤な光が世界を照らしていた。
「なんだ? いったいどうなってるんだ?」
「お兄ちゃん! 起きてる?」
「おー、夏樹か。おはよう」
「あー、うん、おはよう……って、呑気にあいさつしてる場合じゃないよ!! お兄ちゃん、外見て! 外!!」
「えーっと、それって真っ赤な光のことだよな?」
「え? 真っ赤な光? 私にはオレンジ色の光が見えるけど」
「え? そうなのか? うーん、人によって見える色が違うのかな?」
「そうかもしれないね。でも、ずっとこのままだと困るよ」
「そうだな。よし、じゃあ、ちょっとこの光の原因と話してみる」
「え? お兄ちゃん、そんなことできるの?」
「いや、できないよ。でも、何もしないよりかはマシだろ? おーい! 近くにいるんだろう? 出てこいよー!!」
僕がそう言うと巨大なカメレオンが現れた。それは空中で静止している。
「おはようございます。私は姫様の執事、レオです」
「か、カメレオンがしゃべった!?」
「夏樹、うちにしゃべる猫がいること忘れてないか?」
「あっ、そうだった。でも、なんでこんなところにカメレオンがいるの?」
「気になりますか?」
「うん! 気になる!!」
「そうですか。ですが、全てをお話しすることはできません」
「えー、なんでー?」
「そ、それは……」
「なあ、レオさん。もしかしてこの光、お姫様が出してるのか?」
「はい、そうです」
「ふーん、そうか。あっ、もしかして外に出たいのに出られないからこっそり家出したのか?」
「はい、そうです」
「なるほど。えっと、この光の原因がお姫様だって知られたら彼女の両親に彼女が家出したことがバレるし、この事件が原因で今まで以上に外出しづらくなるからできるだけ早く解決したいってところか?」
「あなたは探偵ですか? それともエスパーですか?」
「いや、ただの高校生だ」
「そうですか。まあ、とにかく私は一刻も早く姫様の元へ向かわなければなりません。無理にとは言いませんが協力してもらえると助かります」
「分かった。協力するよ。ずっとこのままだと困るから。夏樹はどうだ?」
「私はお兄ちゃんについていくよー」
「そうか。なら、決まりだな。よし、じゃあ、行くか!!」
「うん!」
「はい」




