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君は断れないよ
放課後、僕が自教室から出ようとすると一条先輩がやってきた。
「やぁ、調子はどうだい?」
「え? あー、えーっと、普通です」
「そうか、普通かー。なら、私と手合わせしてくれ」
「なんで僕と手合わせしたいんですか?」
「君の本気が見たいからだよ」
「それなら例の大会でとっくに出しましたよ」
「いや、あれは人間の闇が暴走しているだけだったからノーカウントだ。それとあの時、君の妹はピンチではなかった。つまり、君はまだ本気を出していないんだよ」
「そう、なんでしょうか」
「ああ、そうだとも。ということで、例の公園まで一緒に来てくれ」
「もし僕が断ったらどうするんですか?」
「君は断れないよ。なぜなら君は例の大会のルールの一件で私に借りがあるからだ」
「……分かりました。先輩の言う通りにします」
「よろしい! じゃあ、行こうか」
「はい」




