表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
954/1938

純黒の千枚通し

 ごめんね、お兄ちゃん。でも、大丈夫。今、楽にしてあげるから。


夏樹なつきー! 俺の闇をくらいやが……」


「純黒の千枚通し」


「……っ!?」


 私は自分の黒い長髪を束ねて千枚通しにすると、それを人間の闇に体をゆだねてしまったお兄ちゃんのみぞおちに突き刺した。


「おい……この体は……お前の……実の兄の……ものなんだぞ? なんで躊躇ためらいなくこんなこと、できるんだ?」


「実の兄だからこそできるんだよ。ほら、とっとと引っ込め。皮()ぐぞ?」


「くそ……やっぱお前頭おかし……」


 そいつは最後まで言い終わる前に意識を失った。地面とキスしそうだったお兄ちゃんを私は受け止める。


「あっ、気絶しちゃった。人間の闇のくせに貧弱だなー。お兄ちゃん、大丈夫?」


「……あ、ああ、大丈夫だ……」


 あー、良かった。元に戻って。でも、お兄ちゃんの体ボロボロだなー。


「そっか。あっ、まだ酒呑童子いるかなー? うーん、いるけど完全に戦意喪失してるなー」


「そうか。あいつ、勝てたのか」


「まあ、そのあと余計なことしてたから一撃で分からせてあげたよ」


「はははは、やっぱり夏樹なつきはすごいな。もし僕がいなくなっても大丈夫そうだ」


「冗談でもそんなこと言わないで。私、怒るよ?」


「すまない。今のは忘れてくれ」


「忘れないよ。お兄ちゃんの全部は私のものなんだから」


「そう、か。はははは、お前は本当に優秀な妹、だ……な」


 お兄ちゃんはそう言うと意識を失った。お疲れ様、お兄ちゃん。本当によく頑張ったね。えらいえらい。私がお兄ちゃんの頭を撫でてあげると、お兄ちゃんは幸せそうな笑みを浮かべた。まったく、お兄ちゃん無茶しすぎだよ。でも、すっごくかっこよかったよ。またお兄ちゃんのこと好きになっちゃった。いつかお兄ちゃんと結婚できるといいなー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ