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これが悪魔の種か
うーん、特に何も起こらないなー。
「ねえ、童子ちゃん。これってもしかして」
「雅人さん、早く食べてください。さぁ、早く」
「お、おう」
なんで私の話聞いてくれないの? うーん、聞こえてはいるけど私が口に出そうとした言葉をお兄ちゃんが聞いたら何か起こるから無視したのかな?
「……なるほど。これが悪魔の種か。なんかアーモンドみたいな味するな」
「気のせいです」
「そうかなー? でも、なんか少し楽になったよ。ありがとう、童子」
「どういたしまして」
「よし、じゃあ、ちょっと走るか」
「そうだねー。早くしないと遅刻しちゃうもんねー」
「夏樹さん」
「何も言わなくていいよ。分かってるから」
「そうですか。では、私はこれで」
座敷童子の童子はそう言うとその場からいなくなった。
「お兄ちゃん、また苦しくなったら言ってね」
「ああ」




