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文字使いの奥義
座敷童子と雪女の戦いを終わらせたその技は、文字使いにとっては知る人と知る技だった。
そもそも文字使い自体、その姿を見せないため、それを見る機会はほぼないと考えた方がいい。
その技を使うと一瞬で相手の戦意を消失させ、地面に膝をつかせることができる。
そのため、使う時は時と場所、場合を選ぶ。
そうしなければ、その技を悪用される恐れがあるからだ。
悪用されてしまったらどうなるのか。
文字使いたちの歴史に泥を塗ることになるということだけは伝えておこう。
文字の力を具現化させ、その力を自身や自分が指定した相手に用いることで戦況を一変させる。
それが文字使い。
そんな文字使いの奥義のようなものがある。
それこそがその技である。
その技は誰かに継承される際、継承する者とそれに継承させようと思っている者以外、同じ部屋に入れてはいけない。
なぜか? それはその技が他者に与える効果が絶望だからだ。