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おままごとか……

 その後、やーちゃん(夜刀神やとのかみ)の精神は幼児になってしまった。まあ、一応見た目通りだから問題ないのだが、色欲による暴走時より僕を意識するようになってしまった。


雅人まさとー、一緒に遊ぼう」


「ああ、いいぞ。何して遊ぶ?」


「えーっとねー、おままごとー!!」


 おままごとか……。


「ああ、いいぞ。えっと、僕は何の役になればいいんだ?」


「えーっとねー、私の旦那様ー!!」


「分かった。どの場面から始める?」


「えーっとー、夫婦のニャンニャンシーン!!」


 ガタッ!! と勢いよく椅子から離れる夏樹なつき(僕の実の妹)はソファに座っている僕たちの様子を監視カメラのように凝視している。


「やーちゃん、そういうのはもう少し大きくなってから」


「私、雅人まさとのこと好きだよ。雅人まさとは私のこと好き?」


「え? うーん、まあ、嫌いではないな」


「もうー! はっきりしてよ!」


「うーん、じゃあ」


 僕は彼女を抱きしめると耳元でこうささやいた。


「やーちゃん、これからも僕と一緒にいてくれ」


「……っ!? ちょ、ちょっと待って! 今のってプロポー」


「んー? どうしてこの程度で動揺してるんだ? もしかして新婚設定なのかな?」


「こ、これで勝ったと思うなよー!!」


「あはははは、やーちゃんはかわいいなー。なあ? 夏樹なつき


「お兄ちゃん」


「んー? なん……」


 夏樹なつきは僕と結構長めのキスをした。それはまるで僕が誰かに奪われないようにマーキングをつけているかのようだった。


「ねえ、お兄ちゃん。夫婦になったら毎日幸せなのかな?」


「うーん、それは本人たち次第じゃないかなー」


「まあ、そうだよねー。ねえ、もし私たちが結婚したら」


夏樹なつき、実の兄妹は結婚できないぞ」


 まあ、事実婚ならできるけど。


「分かってるよ、もしもの話だよ」


「そうか。うーん、多分今と変わらないんじゃないかなー。まあ、そんなこと誰にも分からないけどな」


「そう、だね。ねえ、お兄ちゃん。今日、一緒に寝ようよ」


「ああ、いいぞ。でも、やーちゃんも僕と一緒に寝るつもりだぞ?」


 知ってる。


「別にいいよ。もうあの子は私にさからえないから」


「そうか。なら、いいんだけど」

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