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なあ、今すぐお前と合体してもいいか?

 次の日。今日は祝日なので高校は休みだ。しかし、僕たちはこの学校の地下室にいる夜刀神やとのかみをどうにかしないといけない。倒すことも再封印もできないが、やつと話すことはできる。まあ、校舎の周囲を強力な結界で覆っているから地球が滅ぶことはまずないだろう。


「……なんというか隕石が衝突してもケロッとしてそうな部屋だな」


「まあねー。あっ、暗証番号忘れた」


「え?」


「冗談だよ。えーっと、ポチポチポチポチ……」


 四桁なのか……。


「なあ、閻魔大王」


「なあに?」


「僕は今日、死ぬのか?」


「君は死なないよ。私の加護があるから」


「それは頼もしいな。でも、僕一人で行く必要あるのか?」


「やつは君と話がしたいそうだからね。君以外が部屋に入ったらきっとこの星は死の星になるよ」


「そうか。責任重大だな」


「大丈夫、大丈夫。君ならできるよ」


「だといいがな。じゃあ、行ってくる」


「うん! いってらっしゃい!!」


 僕がやつの部屋に入るとパッと明るくなった。その直後、やつのオーラが僕の体を包み込んだ。まるで僕をずっと欲していたかのように。


「早く来い」


「え? あー、うん、分かった」


 やつの体はかせだらけだった。目隠しもされているから封印されている間、ずっと闇しか見えていなかっただろう。それにしても壁にはりつけにする必要はあるのだろうか? こういうのは手術台とか十字架にするものじゃないのだろうか。


「はじめまして。僕は」


山本やまもと 雅人まさと、高校二年生。自分よりも妹を優先するシスコン野郎にして最高のうつわでもある存在」


「僕のこと知ってるのか?」


「ああ、知っているとも。まあ、お前のことはお前の妹の方がよく知っているだろうがな」


「えっと、封印もうすぐ解けるのか?」


「もうとっくに解けてるよ。けど、今すぐかせを全て破壊したら私の肢体をお前に見られてしまう。私は別に気にしないが、童貞のお前には少々刺激が強すぎるだろう? だから、私がいいと言うまで目を閉じていてくれ」


「分かった。言う通りにするよ」


「よし、いい子だ。あらよっと……」


 かせが弾け飛ぶ音が聞こえる。あんな小柄な体のどこにそんな力があるのだろうと疑問に思ったが、妖怪や神のたぐいの強さは見た目と一致しないことが多いためそれ以上そのことについて考えないようにした。


「もういいぞ」


「ああ、分かった。え? ちょ、なんで裸エプロンなんだよ!?」


「ん? お前はこういうのが好きじゃないのか?」


 彼女は白髪ロングを触手のように動かしながらあかい瞳で僕の体をジロジロ見ている。


「逆になぜ好きだと思った!? とにかく目のやり場に困るから早く別の服に着替えてくれ!!」


「仕方ないなー。では、白いワンピースを着てやろう。あっ、麦わら帽子を被った方がいいか?」


「別にどっちでもいい! 早く着替えてくれ!!」


「はいはい。よし、こんなものだろう。おい、これでいいか?」


「うん、まあ、一応」


「よし、では私の目の前まで来い」


「あ、ああ、分かった」


「よし、いい子だ。では、しゃがめ」


「あー、そうだな。そうしないと目線が合わないよな」


「ふむ、やはりお前は私の理想のうつわだな。なあ、今すぐお前と合体してもいいか?」


「そんなのダメに決まってるだろ。というか、先客がすでにいるから無理だ。定員オーバーだ」


「はぁ……どうやら自分の立場を理解していないようだな。いいか? 私はお前のあるじでお前は私の道具だ。道具があるじを拒絶するな!!」


「ダメなものはダメだ。お前はそんなことも分からないのか?」


「なるほど。これは壊しがいがあるな。よし、ではまずお前の人格を破壊してやろう」


「そんな恐ろしいことサラッと言うな。お前、普通にしてれば結構かわいいんだから」


「か、かわっ……!! お、お前、さては閻魔大王に何か吹き込まれたな!!」


「それはないな。閻魔大王は僕に丸投げしてるから」


「そ、そうか。だが、お前は私の道具だ!! 私の許可なしで外出することはできないぞ!!」


「はいはい。あー、なんかお腹空いたなー。なあ、何か食べに行かないか? ハンバーグ、オムライス、カレー、ラーメン、ピザ、炒飯ちゃーはん、焼き飯、焼きそば、うどん、そば、唐揚げ、餃子ぎょうざ焼売しゅうまい、カツ丼、天丼、親子丼……色々あるけど何が食べたい?」


「ど、どれもおいしそうだな。うーむ、迷うなー」


「そうか。じゃあ、決まったら教えてくれ」


「ああ! 分かった!!」


 この子、本当にあの夜刀神やとのかみなのか? どう見ても可愛らしい幼女なのだが。

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