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便利な特技だなー
僕は変な森から早く出るために森に向かってこう言った。
「なあ、頼むから早くここから出してくれよー」
「ダメです。あなたはここから一生出られません」
「出られないんじゃなくて出したくないんじゃないのか?」
「まあ、そうですね」
「そうか。それで? 何か理由はあるのか?」
「あなたは最高の器です。いつ、どこで、誰に悪用されてもおかしくありません。なので、あなたはこの世で最も安全なこの森で一生暮らすべきなのです」
「なるほどなー。けど、それだと僕の帰りを待っている人たちが不安にならないか?」
「大丈夫です。今からそのことを皆さんに伝えますから」
「その必要はないぞ。多分もうそろそろ来ると思うから」
「はい?」
「お兄ちゃああああああああああああああああああん!!」
夏樹(僕の実の妹)の特技の一つ、僕の居場所はどこにいても分かる。いやあ、便利な特技だなー。




