表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/1935

煽るな!

 折り紙製の赤いつるが無風なのに宙を舞っている。

 それが妹の声で僕を助けに来たと言うのだから、僕はかなり混乱していた。

 しかし、雪女ゆきめ あおいに体のほとんどを凍らされているため、僕は体を動かすことができない。


「あと少し……あと少しで先輩を私のものにできたのに、どうしてあなたは邪魔するんですか!」


「お兄ちゃんを自分のものにする? 私以外、眼中にないって言われたでしょ?」


 え? もしかして、あの時から、ずっと僕のそばにいたのか?


「それは私から逃げるためのうそです。ですよね? 先輩」


 あのー、僕は今、君に体を凍らされてるのでまったく動けないんですよー。


「お兄ちゃん、ちょっと待っててね。もうすぐ助けが来るから」


 助け? いったい誰が……。


「はぁ? ここがどこかも分からないのに、どうやって助けに……」


 彼女が最後まで言い終わる前に、僕のとなりに何者かが現れた。


「まったく……鬼の力を使えなくても、もっとうまく立ち回れるようになってくださいよ。私はあなたの親じゃないんですよ?」


 わ、童子わらこ! 助けに来てくれたのか!


「あなた、誰ですか? 先輩の何なんですか?」


「それは、ご想像にお任せします。それにしても、こんな拷問部屋みたいなところはいつの時代にもあるんですね」


 お前、いったい何歳なんだよ……。


「あなたのような子どもに用はありません。今すぐ出ていってください。そうすれば、命だけは助けてあげます」


「子ども? それは私のことですか?」


 ちょ、それは言っちゃいけないやつだよ!


「あなた以外に誰がいるんですか? こけしちゃん」


「見た目がこけしみたいに、ちんちくりんだと言いたいんですね。えー、分かっていますとも。私は一生、幼児体型ですよ。ですが、そんな私に勝てないあなたは私以下ということになりますね」


 煽るな! あと、こんなところで戦おうとするな!


「私がいつ、あなたに負けたんですか? 教えてくださいよ」


「それは……今……いえ、もうすでに、あなたは私に敗北していますよ」


 それは本当……なのか?


「何をバカなことを言って……」


 彼女は最後まで言い終わる前に気を失った。

 え? ちょ、いったい何が起こったんだ?

 座敷童子は彼の頭に『溶』という文字を指で書いた。

 すると、彼は自由に動けるようになった。


「ありがとう! 童子わらこ! 助けに来てくれて!」


 僕が彼女に抱きつこうとすると、彼女は右にけた。


「ちょ、なんでけるんだよ!」


「あまりベタベタされるのは嫌いです。そういうのは家に帰ってからにしてください」


 あー、まあ、そうだな。


「わ、分かったよ。それで? どうやってここから出るんだ?」


「それは……」


 彼女が最後まで言い終わる前に例の雪女が目を覚ました。


「あら? もう起きたんですか。意外と文字に耐性があるんですね」


「耐性? そんなもの私にはありませんよ。私はただ、気を失う直前に自分の体に書かれた文字を凍らせて、文字の効果を半減させただけです」


 えっと、二人はいったい何の話をしているんだ?


「そうですか。では、次は確実にやります。かかってきなさい、小娘」


「私を……小娘と……呼ぶなああああああああ!!」


 彼女の体から白い妖気が溢れ出す。

 座敷童子はニヤリと笑うと、金色の妖気を体から出し始めた。

 どうやら、今からバトルが始まるようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ