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あー、足が滑ったー
よし、止めよう。今すぐ止めよう。
「あー、足が滑ったー」
「お兄ちゃん!!」
「雅人!!」
実家の屋根の上からわざと落ちたのはいいけど、夏樹(僕の実の妹)と虎姉(僕のいとこ。絡新婦)、協力して僕を助けられるかな?
「行け! 無限に伸びる私の髪!!」
「お願い! 切れない糸! 雅人を助けてあげて!!」
黒い長髪と白い糸が僕を優しく包み込む。僕がゆっくりと庭に着地すると二人はその場に座り込んだ。
「夏樹ちゃん、数ヶ月前より強くなってるね」
「当たり前じゃん」
「おっ、言うねー」
殺し合いに発展しなくて良かったー。よし、じゃあ、そろそろ部屋に戻るか。




