スリスリー♪
次の日の朝、僕が目を開けると夏樹(僕の実の妹)の黒い長髪に拘束されていた。いつから拘束されていたのかは分からないが、よく窒息死しないなーと思った。
「おーい、夏樹ー。朝だぞー」
「お兄ちゃん……大好き……愛してる……結婚して……」
はぁ……まったく、どれだけ僕のことが好きなんだよ。まあ、別にいいけど。
「夏樹、朝だぞ。早く起きろ」
「お兄ちゃん……こっち来て……」
「いや、目の前にいるのだが。おい、夏樹。いい加減目を覚ましてくれ」
「う……うーん……あっ、お兄ちゃんだー。おはよう」
「おはよう、夏樹。えーっと、とりあえずこの髪どうにかしてくれ」
「あー、ごめん。でも、お兄ちゃんが悪いんだよ。私を常にメロメロ状態にしてるからこうなるんだよ」
えっと、僕はそんな変化技使った覚えはないぞ……。
「へえ、そうなのか。僕は別に何もしてないんだけどなー」
「してるよ。無意識のうちに」
「そう、なのかな?」
「そうだよ。じゃないと、こんなに溺愛しないよ。あー、お兄ちゃんの話してたらなんかしたくなってきちゃった。お兄ちゃん、手貸して」
「待て。僕の手を何に使うつもりだ?」
「もうー、分かってるくせに」
「よし、今のではっきりしたな。夏樹、今すぐ僕を解放しろ」
「うーん、どうしよっかなー」
「夏樹、頼むから早く解放してくれ」
「じゃあ、手貸して」
「ダメだ。発情しているお前に僕の手を貸すわけにはいかない」
「大丈夫だよ、もう発情してないから。ほら、早く手貸して。変なことしないから」
「本当だな?」
「本当だよ。私を信じて」
うーん、まあ、嘘をついてるようには見えないから信じてやるか。
「そうか。分かった。ほらよ」
「ありがとう、お兄ちゃん」
夏樹(僕の実の妹)は僕の手の甲にキスをすると僕の手を優しく撫で始めた。
「おい、夏樹。これはおまじないか何かか?」
「うーん? まあ、そんな感じかなー。スリスリー♪」
僕はそれが終わるまでずっと拘束されていた。やれやれ、日に日に好感度が上昇してるな……。もし好感度メーターがあったらとっくに限界突破してるだろうな……。




