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うん、もう死んでもいいや……。

 誰かが指をパチンと鳴らす音が聞こえた……。


「はっ! こ、ここは!」


「お前の部屋だ」


「あっ! アリシア! お前、どうしてさっき僕を助けなかったんだ!!」


 上級吸血鬼のアリシア・ブラッドドレイン(金髪ロングの美幼女)はニヤリと笑った。


「ちゃんと助けたぞ」


「は? 助けた? いつ助けたんだ?」


われが風呂場に行った時だ」


「いや、お前あの時……って、あれ? なんかお前が風呂場に来てからの記憶が曖昧あいまいだな。どうしてだ?」


「風呂場でお前と目を合わせた時、われはお前を眠らせた。そのあと、われはここまでお前のベッドまで運んだ。つまり、お前の記憶が曖昧なのはお前がいつから眠っていたのか知らないからだ」


「じゃ、じゃあ、僕は夏樹なつきと……その……してないんだな?」


「何をだ?」


「いや、だからその……エッチなこと……」


「表現が抽象的だなー。そのエッチなこととはいったい何ななのだ?」


「分かってるくせに……」


「ああ、分かっているとも。われはお前が恥ずかしがる姿を見たいだけだ」


「悪趣味だぞ」


「褒め言葉として受け取っておこう。さて、ではそろそろお前の血をいただこうか」


「え?」


われは力を使った直後にお前をここまで運んだのだぞ? 少しくらいご褒美があっても良いではないか」


「いや、でも夏樹なつきが僕の血を吸うと中毒になる可能性があるって言ってたじゃないか! というか、なんで僕に覆い被さるんだ!?」


「決まっているだろう。お前の、生き血を、吸うためだ」


 な、なんだ? なんだか頭がぼーっとして……。


「ふふふふ、お前が逃げ出さないようにお香をいておいたのだよ。さぁ、が眷属よ。今こそお前の全てをわれささげよ。さぁ! さぁ! さぁ!」


 ああ……意識が遠のいていく……。僕はこれからいったいどうなるんだろう。


「おい」


「なんだ? 今いいところなんだ。邪魔をするな」


「おい、無視するな」


「しつこいぞ! いったい何の用だ!! って、な、なぜお前がここにいる!? どうやってわれの結界内に入った!!」


「ねえ、アリシアちゃん。まさかとは思うけど、今からお兄ちゃんに変なことするつもりじゃないよね?」


「そ、それは……」


「答えろ!!」


「ひいっ!! ご、ごめんなさい! 許してください!!」


「じゃあ、今すぐここから出ていって」


「え? いや、でもこれからがいいところ……」


「早く出ていけ! 全身切り刻むぞ!!」


「ひいっー!! ごめんなさーい! 許してー!!」


 はぁ……まったく、これだから吸血鬼は。さてと……。


「お兄ちゃん、大丈夫? 私のこと分かる?」


「……えーっと、夏樹なつきか?」


「正解。でも、すごく眠そうだね。あっ、そうだ。添い寝してもいい? いいよね? それじゃあ、お邪魔しまーす」


 ええ……まだ何も言ってないのに……。まあ、いいか。


「スウー! スウー! スウー!」


 いや、息吸いすぎだろ……。


「あー、お兄ちゃんのにおいがするー。幸せー。ねえ、お兄ちゃん。首筋にキスしていい? いいよね? はぁはぁ……お兄ちゃんの首筋、すっごく魅力的だよー。ドライアイになってもずっと見ていたいなー」


 ええ……。

 夏樹なつき(僕の実の妹)は僕の首筋にマーキングした。何度も……何度も……何度も……。


「お、お兄ちゃん成分を摂取しすぎて苦しい……。でも、幸せー。くる気持ちいい!!」


 いた気持ちいいみたいなものかな?


「あー、ごめんね、お兄ちゃん。早く寝たいよね。よし、じゃあ、寝よっか。おやすみ、お兄ちゃん」


 彼女は僕のひたいにキスをすると僕をギュッと抱きしめた。夏樹なつきの膨らみかけの胸の感触と夏樹なつきの心臓の音と夏樹なつきの体温が伝わってくる。うん、もう死んでもいいや……。

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