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早く人型になりたい
僕の家の庭にいるイシクラゲが僕に話しかけてきた。まあ、とりあえず話を聞いてみよう。
「あー、えーっと、どうして君は動けるんだ?」
「多分、雷のおかげです」
「雷? それって今朝このへんに落ちた雷のことか?」
「はい、そうです」
「なるほど。えっと、君はいつからここにいるんだ?」
「あなたが生まれるずっと前からここにいます」
「そうか。じゃあ、僕より年上なんだな」
「まあ、そうですね」
「……今まで動きたい願望はあったのか?」
「たまにありましたね」
「なるほど。ということは、アレだな。君の動きたい願望に雷という衝撃が加わったことで動けるようになった。みたいな感じだろうな」
「おそらくそうだと思います。えっと、雨や泥で体が汚れているのでシャワーを浴びたいのですが」
「あー、いいぞ。えっと、本体はどれだ?」
「分かりません。雷の衝撃で体がバラバラになってしまったので」
「そうか。じゃあ、動いてるやつ全部かけ集めよう」
「ありがとうございます。あー、早く人型になりたい」
人型になれるのか……。




