おとなしくしろ!!
はぁ……やっぱりアレは見間違いじゃなかったのか。
今、僕が通っている高校の屋上に雷獣がいる。しかも、ものすごーく怒っている。
「はぁ……仕方ない。少し話を聞いてやろう」
「お兄ちゃん! 危ないよ! 死んじゃうよ!」
「行くな! 雅人! これは命令だ!!」
夏樹(僕の実の妹)と上級吸血鬼のアリシア・ブラッドドレイン(金髪ロングの美幼女)が僕の前に立ち塞がる。うーんと、何事にも因果というものがあってだな。
「二人とも落ち着け。鬼姫と童子も同行するから大丈夫だ」
「私も行く!」
「我もだ!」
雷獣の咆哮と共に放たれた雷が校庭に突き刺さる。あー、あれは絶対くらっちゃダメなやつだな。
「なら、今すぐ雷恐怖症をどうにかしないといけないなー」
「うっ!」
「そ、それは……」
「ということで、二人は校門前で待ってろ」
『わ、分かった』
「よし、じゃあ、行くか」
*
うーん、これはなかなか厳しいなー。
「なあ、鬼姫」
「なに?」
「あいつをおとなしくさせることはできるか?」
「黙らせることはできるわよ」
「黙らせる?」
「ほら、あいつ見た目犬というか狼っぽいでしょ? だから格上の言うことしか聞かないのよ」
「へえ、そうなのか。じゃあ、頼む」
「はいよ」
鬼姫は雷獣の目の前までスタスタ歩いていった。その間、何発か雷を浴びていたが無傷だった。
彼女はコホンと咳払いすると、大きな声でこう言った。
「おとなしくしろ!!」
「……ッ!!」
あっ、気絶した。
「……やりすぎだ」
「……あー、えーっと……てへぺろ☆」
うっざ……。




