あっ、停電した
あれ? なんか曇ってきたな。傘持っていこう。
「なあ、鈴蘭」
「は、はい!」
「一緒に学校行くか?」
「はい! 行きたいです!」
「そっか。じゃあ、一緒に行こう」
「はい!!」
鈴蘭(巨大な白い蛾。今は人型)はニコニコ笑いながらその場で体を揺らしている。
その様子を見ていた上級吸血鬼のアリシア・ブラッドドレイン(金髪ロングの美幼女)はチラッとこちらを見た。
「なんだ? お前も一緒に行きたいのか?」
「ふむ、まあ、お前がどうしてもと言うなら一緒に登校してやらんこともないぞ」
素直に一緒に行きたいって言えばいいのに。
「アリシア様、お願いします。どうか僕と一緒に登校してください」
「い、いきなりなんだ! 気持ち悪い!」
「気持ち悪いって、お前な……」
「う、うるさい! いきなりあんなこと言われたら誰でも困惑するだろうが!!」
「そうかなー?」
「そうだ! あー、もういい。とっとと朝食を食べろ。遅刻するぞ」
「ああ、分かった」
その直後、一瞬空がピカッと光った。それから数秒後、雷鳴が鳴り響いた。それだけなら良かったが、突如としてうちの中が真っ暗になってしまった。
「あっ、停電した」
「お兄ちゃああああああああああああああああああん!!」
「雅人おおおおおおおおおおおおおおおお!!」
停電した直後だというのに夏樹(僕の実の妹)とアリシア・ブラッドドレインが真っ先に僕のところにやってきた。おかしいな、まだ目が闇に慣れていないはずなのに。
「夏樹は分かるが、アリシアも雷苦手なのか」
「苦手ではない! ただ、今まで何度もアレに殺されかけたことがあってだな」
「あー、それはトラウマになるな。よしよし、もう大丈夫だぞー」
「す、すまない。助かる」
「お兄ちゃん、私もよしよししてー」
「はいはい、よしよし」
「あー、落ち着くー♡」
うーん、なんか空が光る前に何かが家の前を通りすぎたような気がするなー。まあ、とりあえず学校行くか。




