上級吸血鬼
アリシア・ブラッドドレイン(金髪ロングの美幼女。種族は吸血鬼)が放った一言は僕を激しく動揺させた。
「ふ、ふざけるな! 夏樹は関係ないだろ!」
「アレはお前の妹だろう? そしてお前はアレを愛している。アレもお前を愛している。相思相愛というやつだな」
「夏樹に何かしたらお前の息の根を止めてやる」
「おー、怖い怖い。まあ、我の固有結界がある限り、お前は我に攻撃できな……」
「お父さん、固有結界の上書き終わったよ」
「ありがとう、福与。助かったよ」
「どういたしまして」
「くっ! な、なんだ! そいつは! なぜ上級吸血鬼である我の固有結界を上書きできる!」
「そんなことより早く木陰に避難した方がいいぞ。まだ夕方だから!」
「そ、そうだな。日が沈むまで少し休ませてもらおう」
移動完了。
「なあ、アリシア」
「なんだ?」
「お前、誰かと付き合ったことないだろ」
「そ、そうだ。よく分かったな」
「距離の詰め方が強引だったからすぐ分かったよ」
「そうか。やはり強引だったか。すまない。だが、許してくれ。お前の顔を見たら感情を抑制できなくなってしまったのだ」
「そうか。そうだったのか。なら、許す」
「いいのか? 我はお前の妹を」
「固有結界をどうにかして無力化しないと結界内には干渉できない。つまり、夏樹に何かするには一度固有結界の外に出るか夏樹を呼ぶしかない。けど、お前はどちらもやらなかった。お前にその気がなかったからだ」
「ぐぬぬ、そこまで見抜かれていたのか。だが、我はお前と結婚するまで諦めないぞ!」
「お前が欲しいのは僕か? それとも僕たちの子どもか?」
「どっちもだ!」
「そうか。じゃあ、一緒に家に帰ろう」
「え? あ、ああ、分かった」
「手、握ってやろうか?」
「あ、ああ、頼む」
「りょーかい」




