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我が眷属よ

 放課後、僕は体育館にいる例の白いを呼びに行った。

 そこにはバスケ部やバレー部、卓球部の部員たちがいて、せわしなくちょこまか動いている。


「おーい、そろそろ帰るぞー」


 僕がそう言うと天井から小さな白いがこちらに向かって飛んできた。


「よし、じゃあ、帰ろうか。あー、返事はしなくていいぞ。部活中とはいえ、がしゃべったら目立つから」


 例の白いは僕の肩の上に乗ると触覚をピコピコ動かした。何かいいことでもあったのかな? まあ、いいや。

 あれ? おかしいな。正門で待っているはずの夏樹なつき(僕の実の妹)たちがいない。僕がそのことに気づくと急に夜になった。あかい月と共にこちらを見下ろしている人物がいる。あれは……人だな。いや、人は空中で静止なんてできない。ということは、あれは人の形をした何かだな。


ひさしいな、が眷属よ。われのことを覚えているか?」


 金髪ロングとあかい瞳と黒いドレスが特徴的な美少女……いや美幼女は両腕を胸の前で組んでいる。


「眷属? 何のことだ?」


「ふむ、なるほど。どうやら忘れているようだな。では、今から思い出させてやろう。と、その前に胸の紋章を見ておかなければならんな」


 彼女はそう言うと、地上に舞い降りた。ドスンでもトッでもなく自然に着地した。流れるように地面をいたわるように。


「成長したな。昔はわれと視線がほぼ同じだったというのに。が眷属よ。少し屈め。そしてが眷属のあかしを見せよ」


「は、はぁ……」


 うーん、見覚えあるようなないような……。僕はそんなことを考えながら彼女の目線まで屈んだ。

 彼女は僕の胸に手を置くとあかい瞳を一瞬光らせた。すると僕の胸からあかい光が溢れ始めた。


「な、なんだ? なんで光ってるんだ?」


「それはお前がわれの眷属だからだ。そして時は満ちた。が眷属よ。正式にわれのものになれ!」


「ん? どういうことだ? 今以上の関係になりたいってことか?」


「ああ、そうだ」


「うーんと、それはあれか? 恋人か?」


「違う!」


「じゃあ、右腕?」


「違う!!」


「あっ、分かった。養子だ!」


「なぜそうなる! まあ、最初と最後のは惜しいが、われはお前と……お前と……幸せな家庭を築きたいのだ!」


「え? それって結婚したいってことか?」


「あ、ああ、そうだ!」


「うーん、でも、僕好きな人がいるからなー」


「なにー! それは本当か! 雅人まさと!!」


「うん。というか、君どこの子?」


「はぁ……どうやらまだ思い出せていないようだな。雅人まさと、少しお前の血を吸わせろ」


「え? あー、まあ、いいけど」


 あれ? 僕なんで拒絶しなかったんだろう。

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