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眠っているアザラシのように
登校中。
「なあ、福与。浮遊できるんだったら僕の頭の上に乗る必要はないんじゃないか?」
福与(僕と『はじまりの座敷童子』の娘)は白い空間の外でも浮遊できる。しかし、彼女は眠っているアザラシのように僕の頭の上でゴロンと横になっている。
「こっちの方が楽だから浮遊したくない」
「そうか。分かった」
「あれ? はたき落とさないの?」
「お前がそうしたいのならそうすればいい。僕は別に気にしないから」
「へえ、そうなんだ」
彼女はそう言うとスウスウと寝息を立て始めた。少し頭を傾ければ落ちてしまう状況なのによく熟睡できるな。僕のこと信頼してくれてるのかな?




