えへへへ
明日からまた学校か。
課題は……終わってる。
予習も……終わった。
明日の準備も……終わった。
あと何かやっていないこと、あったかな?
僕がベッドの上でそんなことを考えていると、座敷童子が僕のとなりに出現した。
「夜這いをするなら、もう少し体が成長してからにしてくれないか?」
「失礼な人ですね。童貞のクセに」
ど、童貞は関係あるのか?
「それで? 何しに来たんだ?」
「あー、その……なんというか、今日は少し寂しいので誰かと一緒に寝たいと思いまして」
なぜ僕のところに来る?
夏樹(妹)のところに行けばいいじゃないか。
ん? というか、こいつはいつもどこで寝ているんだ?
「そうか。じゃあ、夏樹のところに行ってくれ」
僕がそっぽを向くと、彼女は僕の背中に抱きついた。
「おい、いい加減にしないと怒るぞ」
「私だって……弱気になる時はあるんですよ」
な、なんだ? 急にしおらしくなったな。
「あなたはいつもそうです。夏樹さんばかり可愛がって」
「その言い方はやめてくれ。勘違いされるから」
その直後、彼女は声を張り上げる。
「だって、本当のことでしょう! 私は夏樹さんより優秀な面が多いのに、あなたはちっとも評価してくれない! どうしてなんですか!」
「いや、それは……その……」
彼女は僕の目の前に移動すると、僕の顔を両手で揺すった。
「答えてください! ほら、早く!」
「お、落ち着けよ、今言うから」
情緒不安定だな。
「分かりました」
彼女は僕から視線を逸らさない。
「その……まあ、お前はよく頑張ってるよ。でも、なんかそれを本人に伝えるのは照れくさいというか、なんというか」
「なんだ……そういうことでしたか。そうですか、えへへへ」
え? 今、笑った?
「先ほどは失礼しました。では、私はこれで」
「待てよ」
僕は彼女の小さな手を掴む。
「なんですか?」
「あー、その……なんだ……。今日は、僕も少し寂しいからさ、一緒に寝てやってもいいぞ」
「そう、ですか。では、今日は一緒に寝ましょう」
なんか調子狂うな。
「お、おう」
その後、夏樹もやってきた。
タイミングよく……というより、入るタイミングを見計らっての方が妥当だな。
その日、僕たちは仲良く身を寄せ合って眠りについた。