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わたちの歯、磨いて
僕がリビングに行くとパジャマ姿の姫凛(僕と凛の娘)が僕に抱きついた。
「おっとっと。なんだ? どうした? というか、お前起きたのか」
「おとーたん、どこ行ってたの?」
「え? あー、えっと、ちょっと妖怪退治をしに沖縄に行ってた」
「そうなんだ……」
「え、えっと、何か用か?」
「おとーたん」
「なんだ?」
「わたちの歯、磨いて」
「えっと、そういうのってお母さんにやってもらった方がいいんじゃないか?」
「おとーたんじゃなきゃヤダ」
「そ、そうか。じゃあ、やるか」
「本当?」
「ああ、本当だ」
「そっか。じゃあ、お願いします」
「ああ、分かった」
お願いします、か。




