最高のベッド
吸血木を倒した後、僕たちはさっさと家に帰った。
「雅人さん」
「なんだ?」
玄関で靴を脱ごうとしていた僕の顔を座敷童子の童子はじーっと見つめている。
「はぁ……どうやら、また結界を改良しないといけないようですね」
「ん? どういう意味だ?」
「それは……」
「あんた、吸血木に種植え付けられてるわよ」
「え?」
鬼姫はそう言うと僕の体に鬼火を投げつけた。
「ちょ! なんだよ! いきなり!!」
「バカ! あともう少しであんた死んでたわよ!」
「え?」
「え? じゃない! いい? あんたは半人半妖なの。妖怪にとっては最高のベッドなの! 分かる?」
「え? ベッド? 僕がか?」
「雅人さんはこのバカ鬼や私が憑依してもこうして生きていますよね?」
「あー、まあ、そうだな」
「それはあなたが半人半妖だからです」
「えっと、それって人間より体が丈夫ってことか?」
「丈夫ではなく柔らかいんです」
「柔らかい……。あっ! 最高のベッドってそういうことか! つまり、それぞれの種族のいいところだけを兼ね備えているってことだよな!」
「まあ、そういうことです」
「そうか。そうだったのかー。でも、いきなり人に鬼火ぶつけるのはどうかと思うぞ?」
「だーかーらー! あれは緊急事態だったから仕方ないのよー!!」




