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春巻きの材料あったかな?
僕たちが家に帰ると夏樹(僕の実の妹)と凛(狐っ娘)が出迎えてくれた。
「ただいまー」
「おかえりー」
「おかえりなさい。あれ? 姫凛ちゃん寝てますね」
「生まれて間もない子どもが高校に行ったんだから眠くもなるよ。あっ、春巻きの材料あったかな?」
「大丈夫だよ! 帰りに買ってきたから!!」
「ですです!」
「そうか。早めに下校したのはそういうことだったのか」
「うん! そうだよ!」
「ですです!」
「そっか。じゃあ、ちょっと姫凛をベッドまで運んでくるから二人は先に春巻き作っててくれ」
「はーい!」
「はい、分かりました!」
「あっ、そうだ。なあ、童子」
「何ですか?」
「春巻き、たくさん作ろうな」
「はい」
一瞬、彼女のポーカーフェイスがいい意味で少し崩れたような気がした。




