835/1939
一緒に帰ろう
僕たちが校門を出ようとすると先ほど地獄に行ったはずの座敷童子の童子が戻ってきた。
「帰ってくるの早くないか?」
「結界担当の鬼たちに今すぐ結界に霊力を補充するよう言っただけですから」
「そうか。なら、一緒に帰ろう」
「はい」
「あっ、そういえば夏樹と凛の姿がないな」
「お二人は先に帰っています」
「え? そうなのか?」
「はい、そうです」
「そうか。なら、いいんだが」
「雅人さん」
「なんだ?」
「姫凛さん、眠そうですよ」
「え? あっ、ホントだ。おい、姫凛家まで歩けそうか?」
「無理……。おとーたん、おんぶしてー」
「仕方ないなー。ほら、早く乗れ」
「わーい」
彼女は僕の背中に体を預けるとスウスウと寝息を立て始めた。
「もう寝たのか。早いな」
「まだ生まれて間もないですからね。さぁ、帰りましょう」
「ああ、そうだな」




