ね? 恋のライバルでしょ?
凛(狐っ娘)が作ってくれた朝ごはんを食べたくないと言った姫凛(僕と凛の娘)は僕の膝の上で僕が作った朝ごはんを食べている。
「なあ、姫凛」
「なあに?」
「お母さんがお前のために作ってくれた朝ごはんが泣いてるぞ。少しくらい食べてあげてもいいんじゃないか?」
「やっ!」
「ガーン!」
「ほら、お母さんショック受けてるよ」
「おかーたんはわたちのライバルだからあんまり馴れ馴れしくしないで!!」
「ガーン!!」
「ライバルって実の母親なんだがなー」
「おかーたんはおとーたんのことが好きでわたちもおとーたんのことが好きなの。ね? 恋のライバルでしょ?」
「恋のライバルってお前な……」
「おかーたん、早くしないとおとーたん寝取っちゃうよ」
「じ、実の娘にそんなこと言われる私っていったい……」
「凛、あまり気にするな。それより凛の朝ごはん食べてもいいか?」
「え? あー、はい。けど、もう冷めてますよ?」
「うまい料理は冷めてもおいしいんだよ。うん! うまい!」
「だ、旦那様ー」
「むー! おとーたん、私も料理したい」
「え? お前は昨日生まれたばかりだからまだダメだ」
「むー! おとーたんはわたちのことバカにしてるの?」
「いや、包丁で指切り落としそうで怖いなーって」
「そんなミスしないよ! 見てて! ちゃんとできるから!」
「お、おう」
大丈夫かなー。不安しかないなー。




