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卵焼き

 えーっと……どうしてこうなった?


「どうかしましたか?」


 座敷童子が僕の方に目をやる。

 そんなキョトンとされても困るのだが。


「なあ、どうしてお前は僕の膝の上に乗っているんだ? 正直、食べにくいのだが」


「いつもいつも自分のひたいに『浮』という文字を書くのはめんどうなので、これからはあなたの膝の上で食べようと思います。異論は認めません」


 は? ちょ、勝手に決めるなよ。


「いや、勝手に決めるなよ。今まで通り、ひたいに文字を書いてくれよ」


「それはもう嫌だから、こうしてあなたの膝の上に乗っているのです。察してください」


 えー、そんなー。

 僕が妹に助力を求めようとすると、妹はニコニコ笑いながら首を横に振った。

 な、夏樹なつきに見放された!?


「そこをなんとかしてくれよー」


「嫌です。絶対に嫌です」


 これはダメだな。

 はぁ……仕方ない。

 今回はこいつの言う通りにしよう。


「はぁ……分かったよ。もう好きにしていいよ」


「そうですか。では、お礼に私の卵焼きをあげましょう」


 彼女は僕のお茶碗(白米)の上に自分の分の卵焼きを置いた。


「いや、いいよ」


「いえいえ、そういうわけにはいきません。あっ、もしかして私が直接、あなたに……」


 僕は彼女が最後まで言い終わる前にそれをはしつかんで口の中に放り込んだ。


「うん、うまい、うまい。ありがとよ」


「……え? あー、はい、どういたしまして」


 彼女は少し残念そうだったが、妹はニコニコ笑っていた。

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