……は?
夕方、僕と凛と僕と凛の娘『姫凛』が帰宅すると夏樹(僕の実の妹)が出迎えてくれた。
「おかえり! お兄ちゃん!! あれ? 何、その子。誰の子?」
「あー、えーっと、その……」
「だ、旦那様と私の娘です!!」
「……は?」
「し、仕方なかったんです! 〇〇しないと出られない部屋から出るには〇〇しないといけなかったんです!!」
「ふーん、そうなんだ。へえ……。で? 気持ちよかった?」
「え?」
「したんでしょ? お兄ちゃんと。優しくしてくれた? それとも激しかった? ねえ、教えてよ」
「おい、夏樹。そういう話は姫凛抜きで」
「お兄ちゃんは黙ってて!!」
「う……うええええええええええええええええええん!!」
「あー! 起きちゃいました! ど、どどど、どうしましょう!」
「落ち着け。僕に任せろ。よしよし、ごめんな。ビックリしたよなー」
「グスッ……グスン……」
「よしよし、よおしよし」
僕が姫凛の頭を撫でてやると彼女はスウスウと寝息を立て始めた。
「泣き止むの早いな。まあ、別にいいけど」
「や、やめて……。私からお兄ちゃんを取り上げないで」
「な、夏樹さん! 落ち着いてください! とりあえず私の話を聞いてください!!」
「い、嫌だ! 聞きたくない! 私に近づかないで!!」
「夏樹さん! しっかりしてください!! この娘は私のお腹から産まれてなんかないんです!!」
「嘘だ!」
「本当です! 信じてください!!」
「黙れえええええええええええええええええええええ!!」
「旦那様! 夏樹さんの髪が!!」
「ストレスで白くなってるな。凛、姫凛のこと任せていいか?」
「は、はい! お任せください!」
「ありがとう。じゃあ、行ってくる」
見た目は白い繭だが、白い髪でできているそれに手を当てて僕は夏樹に語りかける。
「夏樹、僕の話を聞いてくれないか?」
夏樹は僕をその中に引っ張ると僕を思い切り抱きしめた。
「……童貞、卒業しちゃったの?」
「してないよ」
「嘘つき……。あの小狐としたんでしょ?」
「してないよ」
「じゃあ、あの娘は何なの?」
「えーっと、あの娘はな……」
僕が夏樹に事情を話すと夏樹はほっと胸を撫で下ろした。
「……そっか。まだ童貞なんだ」
「安心するところそこか。まあ、別にいいけど」
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん? なんだ?」
「私も子ども欲しい」
「えっと、必ず成功する保証はないんだぞ?」
「違うよ。あんなのじゃなくてお兄ちゃんのあったかいのと私の卵で作りたいの。ダメ、かな?」
「え、えっと、じ、実の兄妹がそういうことをすると奇形児が生まれる可能性が高くなってだな」
「それは人間同士の話でしょ? 人間と妖怪なら大丈夫だよ」
「いや、でも」
「大丈夫。私、多分分かるから」
「わ、分かる? 分かるって何がだ?」
「うーん、当たりとはずれの違い、かな?」
「言い方はちょっとアレだが、分かったらすごいな」
「あれ? もしかして今のオッケーって意味?」
「え? いや、オッケーって意味ではないな。もし分かったら便利だなーって意味で」
「ふーん、そうなんだ。でも、ありがとう。おかげでストレス解消できたよ」
「あっ、本当だ。髪が黒くなっていく」
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん? なんだ?」
「お兄ちゃんの初めては私のものだからね。それまで誰にも食べられないようにしてね」
「ああ」




