首斬り女
夜道を歩いていると明らかに様子がおかしい妖怪と遭遇した。
「首……首を斬らせろー」
「うーん、どうしよう。無視しようか」
「そうだね、そうしよう」
「それでいいと思います」
「ちょっと待って。ねえ、あいつ手に何か持ってない?」
ん? あー、たしかに何か持ってるな……。えーっと、あれは人の頭だな。でも、血は一滴も出てないな。というか、こいつの周囲にたくさんあるな。
「た、助けてくれー」
「お願い! 誰か助けて!!」
「あー、これはあれだな。首を斬るのは好きだけど、人を殺す気はないパターンだな」
「そんな妖怪いるの?」
夏樹(僕の実の妹)が僕にそう訊ねると座敷童子の童子が僕の代わりに答えてくれた。
「さて、どうでしょうね。まあ、この妖怪に殺意が芽生えない保証はどこにもないのでサクッと解決しましょう」
「分かった! じゃあ、サクッとやっちゃいましょう」
「分かっているとは思いますが殺さないでくださいよ? バカ鬼」
「分かってるわよ、座敷童子」
鬼姫は彼女が持っている日本刀を取り上げると彼女を鬼火で拘束した。
「首……首を斬らせろー」
「うーんと、名前は首斬り女でいいかなー」
「そうだねー」
「今のところ被害者に共通点はありませんが、そのへんにいる人を片っ端から襲っていたわけではないようですね」
「そうみたいねー」
「よし、とりあえずうちまで持って帰ろう」
「はぁ……首運ぶの面倒だなー」
「まあ、そうなりますね」
「はぁ……かったるい」




