表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/1935

いじめたくなっただけ

 風呂から出た後、僕は妹の髪を乾かした。

 ついでに座敷童子の髪も乾かした。

 妹は僕が髪を乾かしている間、歯磨きをしていた。

 もちろん、後頭部にあるもう一つの口の方にある歯も磨いていた。

 座敷童子はその様子を横目で見ながら、歯磨きをしていた。

 僕が座敷童子の髪を乾かしている間、妹は座敷童子の頬を人差し指でつついていた。

 妹はニコニコ笑っていたが、座敷童子はずっと頬を膨らませていた。


「お兄ちゃん、一緒に寝ようよー」


「え? あー、まあ、いいけど」


 妹は「やったー」と言いながら、僕の右手をつかむ。

 その直後、座敷童子が僕の左手をつかんだ。


「今日は私と一緒に寝てください」


「え、えーっと、どうしてだ?」


 僕が彼女にそうたずねると、彼女は僕の腕に抱きついた。


「それは……私がそうしたいからです」


「そう言われてもな……」


 僕が妹の方に目をやると、妹はニコニコ笑っていた。

 おい、まさか。


 *


「今日は三人一緒に寝られるねー」


「そ、そうだな」


 僕と妹と座敷童子は僕の部屋にあるベッドに横になっている。


「どうしたんですか? もしかして緊張してるんですか?」


「いや、別にそんなことは……ない」


 座敷童子は僕の耳元でこうささやく。


「本当ですか? 違いますよね? 本当は風呂上がりの女の子の肌の感触に欲情してるんですよね?」


「ち、違う! 僕は欲情なんてしてない!」


 座敷童子は僕の耳を甘噛みすると、僕をギュッと抱きしめる。


「嘘……ですよね?」


 僕は妹の方に目を向ける。

 その直後、座敷童子は僕の耳元でこうささやく。


「じゃあ、どうしてこんなに心臓の鼓動が速くなっているのですか?」


「そ、それは……」


 妹は僕の胸に顔を埋める。

 その後、黒い長髪を僕の体に巻きつける。


「それは、何ですか? 何か言いたいことがあるのですか?」


「さっきから何なんだよ! 僕が何かしたか!」


 座敷童子は僕の頭を優しく撫で始める。


「いいえ、別に何も。ただ、少しいじめたくなっただけです」


「なんだよ……それ」


 彼女は彼のひたいに『寝』という文字を書いた。

 その直後、彼はすぐに眠りについた。

 彼女は微笑みを浮かべながら、静かに眠りについた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ