屋上での出来事
えーっと……どうしてこうなった?
僕は幼馴染の『百々目鬼 羅々』と新しい部を作るために必要な部員を集めている。
僕の方は部員になってくれそうな子を一人見つけたのだが、どうやら彼女の方はうまくいっていないらしい。
というか、どうして、いかにも不良っぽい学生たちと戦ってるんだ?
しかも、あんまり先生が見回りに来ない屋上で。
はぁ……仕方ない。加勢してやろう。
「おーい、お前らー、もうその辺にしとけよー」
僕がそう言うと、彼らは僕を睨みつけた。
「ああん? やんのか? コラァ!!」
「病院送りにしてやるよ!」
「ほら、どっからでもかかってこいよ!」
安い挑発だな……。まあ、その戦意と度胸だけは認めてあげるよ。
けど、自分と相手の力量を見極められないのはダメだな。
僕はピストルを撃つ構えをすると、一人ずつ額に衝撃波をくらわせてやった。
「な……なに……!」
「い……今、何をされた?」
「く……そ……!」
僕は不良っぽい学生たちを倒すと、彼女の元に向かった。
「おい、大丈夫か?」
彼女は僕が差し出した手を掴むと、スッと立ち上がった。
「まあ、なんとかね。まったく、私がせっかく声をかけてあげたのに、どうしてキレたのかな?」
「はぁ……まず、話を聞いてくれそうにないやつらに話しかけるなよ。そのうちもっと痛い目に遭うぞ?」
僕がそう言うと、彼女はしょんぼりしてしまった。
はぁ……体は大人びていても、心はまだまだだな。
「まあ、その……あれだ。次からは気をつけろよ?」
「うん、そうするよ。あと、助けてくれてありがとね」
別に感謝されるようなことはしてないんだが……。
まあ、いいか。その気持ちはありがたく受け取っておこう。
「どういたしまし……て!」
僕は彼女を背後から襲おうとしていたやつの顔面を軽く殴った。
「えっ? ちょ、今の何? ねえ、雅人。いったい何が起きたの?」
「少し落ち着けよ。ほら、深呼吸、深呼吸」
僕は一瞬で見えない襲撃者の元に行くと、そいつの襟首を掴んだ。
「おい、死んだフリをするな」
「はぁ……分かりました、降参します。なので、手を離してください」
そいつは隠れ蓑を脱ぐと、両手を上げた。
「やっぱり天狗だったか。というか、どうしてこんなところにいるんだ?」
「別にいいじゃないですか。僕がどこで何をしていようと、僕の勝手です」
いや、まあ、そうなんだけど。
それは背後から女子に襲いかかっていい理由にはならないぞ?
まあ、それはさておき。
「そうか。けど、このことがバレたら間違いなく停学になるぞ?」
「そうですね。どうしましょう」
こいつ、もしかして最初から僕たちが部員集めをしていることを知っていたのか?
まあ、それはそれで好都合だな。
「じゃあ、僕たちが新しく作る部の部員になれ。そうすれば、今回の件は水に流してやる」
「なんと! それは本当ですか?」
なんかわざとらしいな。
「ああ、本当だよ。えーっと……」
「あっ! 僕『鞍馬 天』っていいます! 一年生です!」
なるほど。鞍馬山にいる天狗か。
「僕は『山本 雅人』。で、こっちが」
「『百々目鬼 羅々』だよ! よろしくね!」
ようやく落ち着いたか。良かった、良かった。
「はい! こちらこそよろしくお願いします!!」
そんな感じで、僕たちは彼の勧誘に成功したのであった。