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ずーっとニコニコしている
三日経っても、鬼姫は自分の体に戻れた嬉しさを隠し切れずにいる。どこで何をしていてもずーっとニコニコしているから正直気持ち悪い。
「ねえ、雅人」
「なんだ?」
「あたしとデートしましょうよ」
「はぁ?」
「いいでしょ? 今日、学校休みなんだから」
「いや、お前と一緒に歩くのはちょっと」
「なんでよー! あたしのこと嫌いなのー?」
「いや、別に好きでも嫌いでもないけど」
「じゃあ、デートしなさいよ!」
「えー」
「何その面倒くさそうな顔! まったく、あんたって本当にかわいくないわね!」
「かわいくなくて結構だ」
「あっ、そう! なら、言霊の力使わせてもらうわ!」
「あー、はいはい、分かったよ。ところで夏樹と童子はどこにいるんだ? この家のどこかにはあると思うんだが」
「あんたの部屋にいるわよ。なんか内緒話してるわ」
「内緒話、ね」
「ねえねえ、早く行きましょうよー」
「あー、はいはい」
同時刻、雅人の部屋。
「ねえ、童子ちゃん。お兄ちゃんがもうすぐ死ぬって本当?」
「……はい」




