少しずつ
鬼姫と山本家が交わした契約を解除する方法は分かったが、彼女は存在自体が厄災級であるため今の状態のまま彼女の魂を元の体に戻すと手がつけられなくなる可能性がある。そのため僕は座敷童子の童子に何か解決策がないか訊ねてみた。
「ないです」
「いやいや、そんなことないだろ。可能性が低くてもいいから教えてくれよ」
「なら、私と結婚してください」
「うーんと、紙切れ一枚で僕を縛ろうとするのやめてくれないか?」
「では、子どもを作りましょう」
「えーっと、お前は欲求不満なのか?」
「はい、そうです。なので私を慰めてください」
「うーん、どうしても教えたくないのか?」
「いいですか? まずあの鬼は怒りを制御できません」
「いや、家をめちゃくちゃにされて怒らないやつの方がおかしいだろ」
「だとしても! それに関わった子たちの血縁者全員を殺す必要ありますか? ありませんよね? それに彼女のせいで多くの神々が亡くなりました」
「まあ、彼女の逆鱗に触れちゃったからなー。それにお前だって僕が誰かに殺されたら嫌だろう?」
「そんなことになったら私は世界を呪います」
「ええ……というか、お前もあいつと同類なんだな」
「同類? 私は世界が認識する前に全てを終わらせます。ですが、彼女はずっと暴れ続けます。だから、あんな大事件になったんです」
「じゃあ、彼女の魂を少しずつ彼女の体に戻してやればいいんじゃないか? それなら何かあっても僕たちで止められるだろう?」
「……だといいのですが」
「えっと、とりあえず試してみないか? 誰もやったことないんだろ?」
「はい」
「じゃあ、明日山頂にある神社に行こう」
「分かりました」
不安しかありませんね……。一応、あの方たちに連絡しておきましょう。




