久しぶりに
座敷童子の童子ちゃんはお兄ちゃんの体を借りて戦っている間、お兄ちゃんの体にできるだけダメージを与えないようにお兄ちゃんの精神に自分が何なのか分からないようにしていたらしい。
文字の力だかなんだか知らないけど、とにかくそれをやっていたおかげでお兄ちゃんは無傷だったらしい。
うーん、やり方はちょっとアレだけど、お兄ちゃんを傷つけないように頑張ってくれたのは分かるから良しとしよう。
「お兄ちゃーん! 一緒にお風呂入ろう!」
「あー、悪い。今日は一人で入ってくれ」
んー? どうして自分の部屋の隅にいるんだろう。まるで何かを隠してるみたい。
「うん、分かったー。でも、それはお兄ちゃんが隠してるものを教えてくれないと実行しないよー」
「え、えーっと、これはその」
「お兄ちゃん、まさかとは思うけど浮気とかじゃないよね?」
「いや、別に女性は絡んでないぞ」
「そう。なら、早く見せて」
「わ、分かった」
お兄ちゃんは私に背中と壁の間に隠していた両腕を見せた。
「お兄ちゃん、それって!」
「ああ、最近はあんまりなかったんだけど、久しぶりに鬼化しちゃったな」
「お兄ちゃん、それいつからそうなってたの?」
「ついさっきだ」
「そっか。でも、良かったー。お兄ちゃんの背後にメスがいなくて」
「メスってお前なー」
「お兄ちゃん、ちょっとベッドに横になって。私の髪でどうにかするから」
「お、おう」
お兄ちゃんの鬼の力は日に日にお兄ちゃんの心と体を蝕んでいく。もし、お兄ちゃんが完全に鬼になっても私はお兄ちゃんを元に戻せるのだろうか。それとも食い殺されたいと思うのだろうか。
「はい、終わったよー」
「ありがとう、夏樹。お礼に背中流させてくれ」
「うん、いいよー。あっ、私もお兄ちゃんの背中流してあげるね」
「それはいつものことだろ」
「そうだねー。あははははは!」
あー、幸せだなー。いつまでもこんな日々が続くといいなー。




