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童子ちゃーん! 来てー!

 ど、どどど、どうしよう!? お兄ちゃんが記憶喪失になっちゃった!!


「お、お兄ちゃん!」


「……え? あー、僕のことか。えっと、君の名前は?」


「え? あー、えーっと、夏樹なつきだよ」


「夏樹かー、いい名前だな」


「あ、ありがとう。えっと、お兄ちゃんの名前は雅人まさとっていうんだよ」


「雅人か……。なんかレスラーにいそうな名前だな」


「そ、そうだね」


 え、えーっと、こういうのってどうやったら元に戻るんだっけ? あっ! そうだ!


童子わらこちゃーん! 来てー!」


「何ですか?」


「うわっ! いきなり目の前に現れないでよ! あー、びっくりしたー」


「すみません。次からは気をつけます。それで私に何か用があるのですか?」


「あっ! そうそう! 大変なんだよ! お兄ちゃんが記憶喪失になっちゃったんだよ!!」


「え? あー、そういえば一時的に自分が誰なのか分からないようにしていたんでした」


「え? な、なんでそんなことしたの?」


「私が雅人さんの体を借りて戦っている間、できるだけ雅人さんにダメージが残らないようにしたかったからです」


「だ、だからって記憶喪失にする必要あったの?」


「それは雅人さんを元に戻してから説明します。雅人まさとさん、私の人差し指を見てください」


「え? あ、ああ」


 座敷童子の童子わらこちゃんはお兄ちゃんの前で人差し指をクルクル回し始めた。まるでトンボを混乱させる時のように。まあ、あれ効果ないんだけどね。


「私が手を叩いたら、あなたは自分が何なのか思い出します。せーのっ、さんっ、はいっ!!」


 童子ちゃんが手を叩くとお兄ちゃんはようやくいつものお兄ちゃんに戻った。


「あ、あれ? 二人ともどうしたんだ? 僕、何かやらかしたのか?」


「お兄ちゃーん!」


「な、なんだ?」


「良かった! 本当に良かった! 一時はどうなるかと思ったけど、どうにかなって良かったー」


「え? あ、ああ、えっと、僕やっぱり何かやらかしたのか?」


「いいえ、特に何も」


「そ、そうか」


 お兄ちゃん……。私の大好きなお兄ちゃん。いつまでも私のお兄ちゃんでいてね。

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