相思相愛
座敷童子の童子が僕の顔をじーっと見つめている。はぁ……朝ごはん食べづらいなー。
「なあ、童子」
「何ですか?」
「さっきから僕の顔をじーっと見つめてるよな?」
「はい」
「えっと、なんでじーっと見つめてるんだ?」
「あなたの顔を見ながら妄想をしていただけです」
「そうか」
「どんな妄想なのか知りたくないのですか?」
「ああ」
「どうしてですか?」
「朝から変な妄想をしていそうだからだ」
「失礼ですね、変な妄想なんてしていませんよ。少ししか」
「少ししてるのか……」
「当然です。目の前に好きな人がいるんですから」
そういうのって普通、目の前に好きな人がいたらしないと思うのだが……。
「好きな人……か」
「雅人さん、まさか好きな人がいるのですか?」
「え? いや、僕は夏樹一筋だよ」
「あー、そうでしたね。あなたはシスコンでしたね」
「いや、別に普通だろ? 逆に妹のことが嫌いな兄なんているのか?」
「結構いますよ。そういう兄妹」
「うっそだー。じゃあ、なんでうちはそうならないんだ?」
「そんなの相思相愛だからに決まってます」
「え? そうなのか?」
「はい、そうです。誰が見てもあなたたちは相思相愛です」
「うーん、そうなのかなー」
「確実にそうです。間違いありません」
「そう、なのかなー」




