針女
僕が自室でミニミニ九ちゃんと話していると夏樹(僕の実の妹)がやってきた。
「ねえ、お兄ちゃん……。そのメスガキ、どこの子?」
「え? あー、一応うちの高校の校長先生だよ。ですよね?」
「違うよー、私は雅人くんの彼女だよー」
「ちょ! 冗談でもそういうこと言わないでください!」
「えー? どうしてー?」
「どうしてって、そりゃあ……」
「お兄ちゃんから離れろ! この淫獣!!」
夏樹の黒い長髪がミニミニ九ちゃんの体を貫こうとする。
「きれいな黒髪だねー。というか、君ただの二口女じゃないね」
ミニミニ九ちゃんは両手に狐火を纏わせると夏樹の髪を両手で掴んだ。綱引きは始まらなかったが、ミニミニ九ちゃんは夏樹の髪の毛を調べ始めた。
「ふーん、白髪一本もないんだねー。いいなー、私なんか生まれた時からずっと真っ白だよー。ん? この髪、すごくカチカチだね。きっと銃弾を切断できるよ」
「離せ! 私の髪に触っていいのは私が許可したやつだけだ!」
「まあまあ、そう言わずに……。ふーん、なるほどねー。はい、離すよー」
彼女が髪を離すと夏樹は自分の髪を撫で始めた。
「君さー、多分針女の血入ってるよ」
「あー、毛先が鉤針状になってる妖怪かー。たしかあいつの髪を切断できる物質はこの世に存在しないんだったな」
「それはあくまで噂だから本当かどうか分からないけど、その髪大事にしなよー。あっ、あと練習すれば生き物の影を奪えるようになるよ」
「なんか牛鬼みたいだなー。いや、でもあいつは影を食べるんだっけ?」
「そうそう、舌で舐めとっちゃうんだよー」
「わ、私も仲間に入れてよー! というか、あなたはいったい誰なの?」
「さて、誰でしょう」
「いや、だからうちの高校の校長先生だよ」
「え? そうなの?」
「まあ、一応そうだね」
「そっか。なら、お茶持ってきますね」
「あー、お構いなく。もうすぐ帰るから」
「そうですか。じゃあ、ごゆっくり」
「うん!」
かわいい妹さんだねー。ん? 待てよ。私が雅人くんと結婚すれば……いや、それだとこの家にいる座敷童子に何されるか分からないからやめておこう。




