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お昼ごはん

 千夏ちなつ(黒髪ショートの女学生)は朝ごはんを食べている間、ずっと僕をチラ見をしていた。僕はそれに気づいていたが気づいていないフリをしていた。

 登校中、彼女は僕をストーキングしているかのようにずっと僕の後方にいた。距離を取るほど嫌いになったのかな? と最初は思っていたがどうやら距離を取らなければ正気を保てないからそうしたようだ。ちなみにそれが判明したのは信号待ちしていた時だった。

 学校に着くと彼女は僕の制服の袖口をつかんだ。彼女は少しうつむいた状態で顔を真っ赤にしながらこう言った。


「教室まで一緒に行きませんか?」


 特に断る理由はなかったため僕はすぐに返事をした。


「うん、いいよ。じゃあ、行こうか」


「はい」


 彼女は静かにそう言うと制服の袖口を掴んだまま歩き始めた。今日の彼女はいつもより変だ。しかし、それを彼女に伝えてしまうとおそらく彼女は困ってしまう。だから、僕はそれを脳のゴミ箱の中に捨てた。


「着いたよ、千夏ちなつさん」


「あ、ありがとうございます」


「うん、じゃあ僕もう行くね」


 僕がそう言うと彼女は少し大きな声でこう言った。


「あ、あの!」


「ん? 何かな?」


「え、えっと、お、お昼」


「え?」


「そ、その……お、お昼ごはん! 一緒に食べませんか?」


「あー、うん、いいよ。えっと、千夏さんの教室まで行けばいいのかな?」


「は、はい! それで大丈夫です!」


「そっか。じゃあ、僕もう行くね」


「は、はい!」


 僕はその直後の彼女の表情を直接見ていないけれど、彼女はすごく嬉しそうな顔をしていた。なるほど、こういう使い方もできるだな『一目連いちもくれん』って。

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