僕の妹は〇〇ですが何か問題ありますか？

お兄さん？

　朝起きると千夏《ちなつ》（黒髪ショートの女学生）の顔が目の前にあった。

　彼女はまだ起きていない。だからといって何かしようとは思わないが少しだけ気まずいのは確かだ。

「……お、お兄さーん」

「は？　お兄さん？」

「え？　あ……あっ、ああ、あっ！　いやあああああああああああああああああ！！」

　彼女は勢いよく起きるとベッドの上で暴れ始めた。

「ちょ！　千夏さん！　ベッドの上で暴れないでくれ！」

「聞きました？　聞きましたよね？　あー！　もうー！　とにかく今すぐ忘れてください！」

「あ、暴れるな！　少し落ち着け！」

「もう何なんですか！　あなたと出会ってからろくなことないです！」

「そ、それはこっちのセリフだ！　昨日なんか特に……あっ」

「き、昨日？　あっ、な、なんか断片的に記憶が蘇《よめがえ》って」

「あー！　思い出すな！　昨日は特に何もなかった！　だから、君はとりあえず深呼吸しろ！」

「し、深呼吸ですか。分かりました。……あ、あのー」

「な、なんだ？」

「ちょ、ちょっと押し倒してもいいですか？　あー！　別に私がそうしたいからじゃありません！　な、なんか誰かの温《ぬく》もりを感じた方が落ち着くって何かの本に書いてあったので」

「そ、そうか。じゃあ、そうしようか」

「よ、よろしくお願いします」

　僕は彼女に押し倒された後、彼女に抱きしめられた。

「あー、なんか落ち着きますー」

「そ、そうか。それは良かった」

　うーん、でもこんなところ誰かに見られたくないなー。

「お兄ちゃん、おはよう！　って、朝から何しとんじゃ！　この泥棒猫ー！！」

「ち、違うんです！　これはそういうのじゃないんですー！　ねえ？　お兄さん！」

「え？　あ、ああ、そうだ！　千夏の言う通りだ！」

　ん？　なんか今呼び方がいつもと違ってたような。

「お兄さん？　千夏？　二人ともいつからそんなに仲良くなったの？」

「あー！　今のはその」

「ちょ、ちょっと言い間違えただけだ！」

「へえ、そうなんだー。ふーん」

「あ、あははははは」

「な、夏樹《なつき》、分かってくれたか？」

　夏樹《なつき》（僕の実の妹）はニッコリ笑うと黒い長髪で千夏をグルグル巻きにした。

「ちょ！　ちょっと！　なんで私にだけこんなことするんですか！」

「うるさい！　黙れ！　この泥棒猫！　お前なんか今すぐ」

「夏樹！」

「ひゃ、ひゃい！」

「とりあえず僕の話を聞いてくれないか？」

「わ、分かった」

「よし、いい子だ。えーっと、そもそもなぜあんなことになったのかというとー」