危険な代物
夏樹(僕の実の妹)、あまり僕に依存すると後悔するぞ。
僕はキスのしすぎで体がふわふわしている夏樹の頭をそっと撫でると静かに退室した。その後、足音を立てずに自室まで歩いた。
「はぁ……やっと寝られるなー」
「ごめんなさい」
「……え?」
どう、して……。
「あ、あれ? どうして刺さってないんですか?」
「千夏さん、いきなり包丁でお腹刺さないでよー。あー、びっくりしたー」
「あ、あなた、本当に化けも……」
「化け物……か。まあ、たしかに体は化け物だね。でも心はまだ化け物じゃない」
「そ、そんなの信じられません!」
「ん? あー、なるほど。僕が約束を破ったから怒ってるんだね。でも、発情してる夏樹を放っておくわけにはいかないからさー」
「知ってますよ、そんなこと。ずっと起きてたんですから。それより早く私と一緒に寝てください」
「分かった」
僕がベッドに横になると千夏(黒髪ショートの女学生)は僕をギュッと抱きしめた。誰にも渡さないと言わんばかりに強く抱きしめている彼女の目から涙がこぼれる。
「ごめんな」
「いいんです。明日になればきっと正気に戻りますから」
「そうなるといいな」
「はい」
はぁ……『河童の聖水』、想像以上に危険な代物だなー。早く正気に戻るといいなー。僕はそんなことを考えながらゆっくり目を閉じた。




