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お兄ちゃん、まだ私にキスしてないよ

 千夏ちなつ(黒髪ショートの女学生)は僕の部屋にあるベッドでスウスウと寝息を立てている。

 あれ? これって何もされない感じなのかな? うーん、まあ、いいや。さっさと寝よう。

 僕がベッドに向かおうとすると背後から夏樹なつき(僕の実の妹)に話しかけられた。


「お兄ちゃん、一緒に寝よう」


「えっと、今日は千夏さんと一緒に寝る約束をしていてだな」


「そんなの無視していいよ」


「いや、でも」


「なら、この抱き枕をお兄ちゃんの代わりにすればいいよ」


「抱き枕かー。うーん、お前の用事が終わるまでならいいかなー」


「決まりだね。じゃあ、なるべく早く来てね」


「ああ」


 夏樹なつきはそう言うと静かに退室した。僕は彼女のそばに抱き枕を置くと夏樹の部屋まで早歩きをした。


「夏樹ー、来たぞー」


「いらっしゃい、お兄ちゃん。となり、空いてるよ」


「ああ」


 僕はベッドに座っている夏樹のとなりまで歩くとゆっくり腰を下ろした。


「お兄ちゃん」


「なんだ?」


「あの女のこと、どう思ってるの?」


「あの女? 千夏ちなつのことか?」


「うん」


「うーん、そうだなー。ちょっと危なっかしい後輩みたいな感じかなー」


「そう。よかった……」


 何がよかったんだろう。


「ねえ、お兄ちゃん」


「なんだ?」


「キス、したいんだけど」


「……え?」


「最近してないからしたいなー」


「え、えーっと、もう寝たいんだが」


「それ、あの女と寝たいって意味?」


「いや、別にそういう意味じゃ」


「じゃあ、キスして」


 なんかさっきからずっと声低めだな。怒ってるのかな?


「夏樹」


「なに?」


「もしかして怒ってるのか?」


「うーん、どうだろう。でも、なんかイライラしてる。お兄ちゃんがあの女と話してる時、あの女ずっと自慰行為してたから」


「……え? そ、それって浴槽の」


「うん、そうだよ。湯船に浸かってる間、ずっといじってた」


 ええ……なんだよ、それ。結構シリアスな話してたのに自慰してたのか。『河童かっぱの聖水』の効果やばいな。


「そ、そうか。じゃあ、おやすみー」


「お兄ちゃん、まだ私にキスしてないよ」


 あー、やっぱりバレたか。


「えーっと、どうしてもしないといけないのか?」


「うん」


「なんでだ?」


「心がモヤモヤしてるからだよ」


「それは寝れば治るんじゃないか?」


「そうかもしれない。けど、お兄ちゃんとキスしたら治るかもしれない」


「そうか。じゃあ、やろう」


「え? いいの?」


「ああ、いいぞ。えっと、僕からした方がいいのか?」


「私がする。お兄ちゃんは横になって」


「分かった」


 僕がベッドに横になると夏樹なつきは僕の上に覆い被さった。


「じゃあ、するよ」


「ああ」


 夏樹は僕のくちびるにキスをするとなぜか舌を入れてきた。


「……っ!?」


「あっ、ごめん。我慢できなかった」


「そ、そうか。あー、びっくりしたー」


「……ねえ、お兄ちゃん」


「なんだ?」


「もっと、欲しくなっちゃった」


「え?」


「お兄ちゃん、もっとちょうだい。もっと、もっと!」


 あー、これは朝までコースかなー。


「うーんと、明日も学校が」


「関係ない」


「早く寝ないと明日きついぞー」


「今日はお兄ちゃんとイチャイチャしたい」


「そうか。理性がどこかに行ってしまったんだな。夏樹、お前の好きにしていいぞ」


「ありがとう、お兄ちゃん。大好き」


 夏樹はそう言うと僕を求め始めた。その間、夏樹はなぜか泣いていた。嬉しいのか悲しいのか楽しいのか辛いのかよく分からない涙だったが、僕は何も言わずに夏樹に愛を与え続けた。

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