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あなたれすー
僕たちは今、湯船に浸かっている。
「千夏さん」
「何れすかー?」
「さっき君が食べたオムライスに僕がケチャップで文字を書いてたよな?」
「そうれすねー」
「その文字というか文章について知りたいんだけどいいかな?」
「いいれすよー」
「そうか。じゃあ、教えてくれ。どうして君は『生まれてきてくれてありがとう』と書いてほしいって言ったんだ?」
「……それ、今言わなきゃダメなんれすかー?」
「うん、きっと今の君じゃないと言ってくれないだろうから」
「そうれすかー。じゃあ、教えます。でも、ただでは教えません」
「まあ、そうだろうな。で? 何がほしいんだ?」
「あなたれすー」
「僕?」
「はい、あなたの全てを私にくださーい」
「全ては無理だな。君に鬼の力は制御できないだろうから」
「なら、あなたの愛だけくださーい」
「愛か。じゃあ、今日一緒に寝よう」
「うーん、まあ、いいでしょう。じゃあ、話しますねー」
というのを天井で聞いている夏樹(僕の実の妹)は今にも彼女に襲いかかりそうだ。
まあ、きっと話が終わるまでは何もしてこないだろうから大丈夫だろう。




